古橋「代表復帰」の可能性は残るも
森保監督の発言が独り歩きか

 けがで途中離脱したものの、まずはセルティックのFW前田大然が招集された。前田に関しては前出の「THE CELTIC STAR」が、驚異的な運動量を称賛しながら次のように苦言を呈していた。

「その仕事ぶりは見ていて疲れるほどで、超人的と言っていいペースを持続できる。しかし、攻撃陣のなかで最も優れた選手と呼ぶには、フィニッシュの精度があまりにも低すぎる」

 さらに「the KA」のランキングでスコットランドより一つ上のオーストリアからMF中村敬斗(LASK)、下のスイスからDF瀬古歩夢(グラスホッパー)、ドイツ2部からMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が招集。Jリーガーもドイツ勢の7人を上回る最多の8人を数えた。

 カタールワールドカップに招集されなかった選手で、3月シリーズのメンバーに名を連ねたのは総勢12人。そのうちゴールキーパーと最終ラインの選手が10人と大半を占めている。

 これが何を意味していたのか。吉田麻也(シャルケ)や酒井宏樹(浦和レッズ)、そして長友佑都(FC東京)のベテラン勢が選外となった最終ラインは、組み合わせを含めて新たなトライに着手する。そしてボランチよりも前、特に2列目と1トップの攻撃陣ではカタール大会からの継続が求められる。

 ドイツ、スペイン両代表から逆転勝利をもぎ取ったカタール大会では、前線からの徹底したハイプレスが歓喜のゴールへの第一歩となった。その延長線として3月シリーズがあると踏まえれば、猛烈なチェイスが十八番の前田の招集もうなずける。実際、森保監督はこんな言葉も紡いでいる。

「カタール大会の代表に、新たな選手を加えて代表活動を再開させるなかで、いろいろなことを複合的に考えた。次回のワールドカップへ向けて最強のチームを作るために、さらに幅を広げながらチーム力を上げていくためにも違う選手を見たい、試したいと考えたなかで、今回は(古橋と旗手が)招集外になったところもある。今回だけが代表活動ではないと理解していただければと思う」

 指揮官のコメントをトータルでとらえれば、3月シリーズの人選に込められた意図が伝わってくる。しかしながら「リーグのレベル」と言及した部分が、あまりにも強烈な残像を放ったがゆえに独り歩きしてしまった。周囲への配慮を欠かさない森保監督にしては、不用意な発言だったと言っていい。

 実際、発言の余波はいまだに収まっていない。現在はヨーロッパを視察している森保監督は、予定のなかにセルティックの試合も含めているとされる。現地メディアは早くも「今回の視察で、スコットランドリーグのレベルを目の当たりにするだろう」と皮肉を込めながらその日を待っている。