スロットマシン市場の成長と参入チャンス
日本の製造業にも商機あり

 コロナ禍もあって最近のカジノでは、人手がかかるテーブルよりも、できるだけ電子ゲームやスロットマシンを増やそうとしている。カジノのスロットマシン市場は、コロナ禍の前は年率10%以上の成長を遂げてきた(Technavio調べ)。各国の細かな規制に対応したマシンをつくらなければならないため、参入障壁は非常に高く、少数企業で世界の市場は独占されている。

 カジノで使われるスロットマシンは、さまざまなパーツで構成されている精密機械だ。筐体、液晶画面、コントローラーパネル、ロジックボックス(ROM/基盤/乱数発生装置)、メーター、ビルバリデータ(紙幣やバウチャーを識別する装置)、プリンターなどなど。今後この市場の拡大を見据えて、マシンに使われるさまざまな電子部品に参入しようとする日本企業が出てきてもおかしくない。スロットマシンメーカーは、コナミやセガサミー、アルゼゲーミングテクノロジーズ以外にも、豪Aristocrat、米International Game Technology、米Scientific Games Corporationなど世界大手企業がいくつかある。

 カジノという場所で使うマシンだからこそ、日本企業のものづくりパワー、きめ細かな対応力、不正を犯さないクリーンなイメージを、世界にアピールすべきだと筆者は考える。大阪IR開業を契機として、何か新しいことをやってみたい電子部品メーカーや企業があれば、まずはスロットマシン周りの部品下請けあたりから参入してみてはどうだろう。

 スロットマシンを含むカジノでのETG(電子ゲーム)の世界市場は、2027年には約132億ドル(1.8兆円)に成長すると調査されている(グローバルインフォーメーションの報道発表)。期待できる分野であることは間違いない。

 最後に筆者の所感を記しておきたい。大阪IR計画は国に認定されたものの、反対派の意見も根強い。賛否の分かれるプロジェクトだからこそ、できるだけ日本企業の発展と、地域の雇用に寄与してほしい。

 記事の後編『大阪IRを国が認定!世界のカジノ業界で超有名な日本企業【10社リスト付】トランプ爆買い発生』では、テーブルゲームのツール製造で世界的に有名な2大企業をはじめ、現金処理やセキュリティ分野で期待される企業についても詳しく紹介する。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
5段落目と10段落目および記事末のリスト内:「コナミホールディングス」(HD)→「コナミグループ」
(2023年4月18日13:23 ダイヤモンド編集部)
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