ネーションズリーグ創設で
欧州が「鎖国状態」に

 ヨーロッパ勢の国際Aマッチデー期間をさかのぼれば、昨年6月と9月には第3回UEFAネーションズリーグのグループステージで日程はすべて埋まっていた。実は2018年9月にスタートしたこのネーションズリーグが、国際親善試合事情を世界規模で一変させていた。

 他大陸勢との国際親善試合ではなく、タイトルがかかった真剣勝負でこそ本当の意味でのレベルアップを図れる。こうした方針の下でネーションズリーグが創設され、さらにヨーロッパ選手権とワールドカップの両予選もあるヨーロッパは、実質的な鎖国状態になってしまった。

 さらにヨーロッパに続いて、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)も大陸内でネーションズリーグを新設。昨年6月と今年3月にグループステージが開催され、勝ち残ったアメリカ、メキシコ、カナダ、パナマの各代表は6月の決勝ラウンドで初代王者をかけて戦う。

 アフリカサッカー連盟(CAF)では来年初頭にコートジボワールで開催される、アフリカネーションズカップ予選がたけなわだ。2年ごとに開催される同カップはアフリカ各国が威信をかけて臨む舞台であり、ワールドカップ予選を含めればCAFの日程もほぼ埋まっている。

 ヨーロッパと北中米カリブ海、アフリカの状況を踏まえれば、マッチメイクの選択肢は南米とオセアニア、アジアの3大陸に絞られる。このなかで森保一監督が対戦を望む強豪国はほんの一握りであり、反町委員長が嘆き節にも近いコメントを残しているのもうなずける。

 森保監督が18年7月に就任して以来、3月までに27回の国際親善試合が組まれてきた。北海道胆振東部地震で中止になった同年9月のチリ代表戦を含めて、このうち12回が南米勢との対戦であり、ネーションズリーグが創設される前の北中米カリブ海勢が8度で続いている。

 他はアフリカ勢が4、アジア勢が2で、ヨーロッパは2021年6月に来日したセルビア代表だけとなっている。このときは日本サッカー界となじみの深いドラガン・ストイコビッチ監督の存在と、開催中のヨーロッパ選手権への出場をセルビアが逃していた点が大きく働いていた。

 北中米カリブ海勢までもが鎖国状態になった昨年6月以降では南米勢、そのなかでも強豪国とのマッチメイクをめぐって綱引きが繰り広げられている。しかし、南米を象徴するブラジル、アルゼンチン両代表に関しては、国際親善試合をめぐる状況が他国と大きく異なっている。