“4ドアクーペ”と呼びたくなる
スタイリッシュなフォルム

 デザインから説明していこう。エクステリアは2代目から続くワンモーションフォルムを継承するが、ワイド&ローのプロポーションやルーフ頂点を後方に下げたことに加えて、低いボンネット、スポーツカーのように寝かされたフロントウィンドウ、線ではなく面で抑揚を与えたグラマラスなサイド、薄型一文字ライトのリアなど、“4ドアクーペ”と呼びたくなるスタイリッシュなフォルムに仕上がっている。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】新型プリウス・プロトタイプ。2Lエンジン搭載グレード。ワンモーションフォルムを継承しながらスポーティなデザインに仕上げた。写真のボディーカラー、シルバーメタリックはXグレード専用設定
トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】4ドアクーペといえる流麗なシルエット採用。プレスラインを排したグラマラスな面構成と大径タ イヤで安定感をアピール。2Lモデルはスポーティなエンジン音を積極的に聞かせる設定

 タイヤは1.8Lが195/60R17+ホイールカバー、2.0Lモデルが195/50R19+アルミホイールと旧型から2インチアップ。これは見た目とステアリング切れ角、そして転がり抵抗を考慮した設定だそうだ。フェンダーとの隙間やホイール・インセットもかなり攻めている。

 インテリアはトヨタ車共通の水平基調のコクピットデザインをベースにプリウス用に最適化した。メーターはプリウス伝統のセンターメーターから通常タイプに変更、bZ4Xで初採用のバイザーレス式を水平展開。シンプルな表示で視認性も高いが、ポジションによってステアリングがメーターの一部を隠してしまうのは要改善……。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】コックピットは圧迫感がなく広々。7インチのトップマウントメーターはステアリングの上から見るため視線移動が少ない。内装色は3種で写真は赤のアクセントが特徴のマチュアレッド

 インパネシフトは廃止して、シフトレバーはセンターコンソール上に移動された。シフト回りは新型クラウンと共通部品を使っている。センターコンソール周辺は、限りあるスペースの中にさまざまなアイテムを装着するが、新型は機能的なのにスマートなデザイン。このあたりは新型クラウンをはじめとする他のトヨタ車も見習ってほしい。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】写真のマチュアレッド内装色の場合は前席肩に赤の差し色が入る。Zグレードは前席ベンチレー ションとヒーター付きスポーティ形状で運転席は8ウェイ電動タイプ。シート表皮は合成皮革。ZとGグレードは除電スタビライジングプラスシートが標準
トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】後席6対4分割可倒式

 居住性はデザイン重視で前席優先だと思われがちだが、後席はルーフラインライニングの工夫やシート角度の最適化による頭上スペースの確保、+50mmのホイールベースによる足元スペース拡大、フロントシート形状最適化やリアドアのウィンドウ面積をできるだけ大きく取る工夫(そのためにリアドアに電子ラッチ採用)などにより、想像よりも閉塞感の少ない快適な空間に仕上がっている。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】Zグレードはパワーバックドア標準
トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】ラゲッジは写真の2Lの場合、スペアタイヤありで343L(VDA方式、以下同)、スペアタイヤなしで410L。リアシートをたたむとスペアタイヤありで1114L、スペアタイヤなしで1149Lまで拡大。1.8Lはスペアタイヤありで357L、なしで422L、スペアタイヤありで最大 1128L、なしで最大1163Lと少し広い。4WDも同寸

 虜にさせる走りはどうか?今回はHEVのプロトタイプに試乗したが、試乗場所は何と富士スピードウェイのショートコースだ。パワートレーンはHEVは1.8/2.0Lの2タイプ。2.0Lは応答性の高さやEV領域が増えたモーター走行などはもちろんだが、システム出力196㎰は“速い”と感じさせる力強さだ。