無理があった「公団P線方式」での建設

 鉄建公団の「公団P線方式」で建設が行われたことも事態を深刻化させた。このスキームは、建設や資金調達までを鉄建公団が行い、引き渡しを受けた事業者が「譲渡代金」などの名目で開業後に分割で支払いを行う。

 このスキームは経営体力のある大手私鉄の新線(東急田園都市線など)で頻繁に用いられた。一方、経営能力に乏しい第三セクター会社にも適用され、業績低迷とともに支払いに苦しむ事例が続出した。例えば、92年に開業した千葉急行電鉄(現在の京成千原線)はたった6年で経営破綻した。自治体のみならず、出資した京成電鉄も大きな損害を負うことになった。

 当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ。

 最近の金利上昇により、東葉高速鉄道の返済計画には、さらなる不幸が襲い掛かることになりそうだ。21年度の約12億円の利払いは、リーマンショック後の超低金利が前提となっている。そうなる以前は、年間50億円以上の利払いを行っていた時期もある。返済内容として、金利が0.1%変動しただけで、返済金額が数億円も上振れする可能性があるという。