ダイヤモンド社刊
1680円(税込)

「上司をマネジメントするには、いくつかのポイントがある。上司リストを作成する。本人に注文を聞く。上司の強みを生かす。報告方法を考える。不意打ちに遭わせない。上司が代わったら、コミュニケーションの仕方を変える」(『プロフェッショナルの原点』)

 ドラッカーは、上司との関係において、第一に行なうべきことが、上司リストの作成だと言う。

 上司とは、自分が報告すべき相手、自分に指示を出す者、自分の仕事と仕事ぶりを評価する者、自分が成果を上げるうえで必要となる者全員ある。

 上司が1人だった時代は、とうの昔に終わっていることを認識しなければならない。そのうえ、異動があれば上司は代わる。異動がなくとも時間がたてば代わる。ドラッカーは、上司が1年以上1人も変わらないことはありえないと心得よとまで言う。

 第二に、上司が成果を上げるうえで、何が役に立ち、何が邪魔になるかを上司本人に聞かなければならない。「私が役に立っていることは何か」と聞いて回らなければならない。

 第三に、上司の強みを生かすことである。強みによって成果を上げさせることである。「上司が本当に成果を上げるのは何によってか。強みを発揮させるには、自分は何をしなければならないか」。

 第四に、報告の仕方を考える。どのようなときにどのような頻度でどのように報告するか。

 第五に、当然のことながら、不意打ちに遭わせないことである。上司をあらゆる不意打ちから守ってやらなければならない。

 第六に、相手によってコミュニケーションの方法を変えることである。上司が代わったにもかかわらず、報告の仕方が同じなどということがあってはならない。

 そして最後に、ゆめゆめ上司を軽視してはならない。「上司を軽視するならば、上司はそれを見抜く。あなたが上司の頭や知識を問題にしたように、今度は上司があなたの頭や知識を問題にするようになる」と言う。

「上司をマネジメントすることは、上司との間に信頼関係を築くことである。そのためには、上司の側が、部下が彼の強みに合わせて仕事を行い、彼の弱みと限界に対して防衛策を講じてくれているものと信じられなければならない」(『プロフェッショナルの原点』)