学校では多くの場合「なんとなく」では評価してもらえませんし、テストでも点数になりません。でも、「なんとなく」は本当は理解への大きな第一歩なんです。

 この世の中には、簡単に答えがあるものだけでなく、答えがあるかどうか分からないものもたくさんあります。それこそがぼくたちが生きるこの世界のリアルな構造です。

 簡単に手に入るものは、簡単に失われてしまう可能性があります。

アインシュタインが
残した名言とは?

「教育とは、学校で学んだことを一切忘れてしまったあとに、なお残っているものだ」

 これは、アインシュタインの言葉です。これは、何を考えたか(知識・テーマ)ではなく、どのように考えたか(方法・体験)が、最も記憶として残り、人生と社会をより豊かにするために活用できるということだと思います。

 ものづくりと同じで、ものごとを考えたり、想像するためには必ず「素材」が必要です。ぼくたちは、ゼロから考えたりつくったりしているわけではないんです。生まれてからいままでに知ったことや経験したことが想像や思考の素材になっています。

 そもそも、ぼくがみなさんにお伝えをしていることは、ぼくが本で読んだり、誰かに聞いたりして知ったことをもとに、考えたり想像したり体験したりしたことを編集してまとめたものです。だから、ぼくの完全にオリジナルなアイデアはたぶん一つもありません。

 もしオリジナルっぽいものがあったとしても、それはきっかけをくれた人やぼくに教えてくれた人のおかげですから、やっぱりぼくの完全なオリジナルとはいえません。

 そう考えると、ぼくらは知識や経験や思考をシェアしながら、時代や国・地域を超えてみんなで成長しているんだな、ということが感じられると思います。