自分の考えていることが、うまく人に伝えられない」「人とコミュニケーションをとることに、苦手意識がある」と悩む方は多くいます。しかし、その悩みこそ「相手とよい関係を築き、人を動かす」ための第1歩に変えられるのです。『超完璧な伝え方』の著者、4代目バチェラー・黄皓氏による「誰とでもスマートに人間関係を築く」ための簡単なテクニックを紹介します。

「交渉がうまい人」が相手と会う前に必ずすることPhoto: Adobe Stock

交渉相手の背景を何パターンも想像する

交渉でも大切なのは「想像力」です。

「相手はなぜこの条件をつけてきたのか」について考え抜かなければなりません。

たとえば、私は社長として、社員との給与交渉をすることがあります。

そのとき「なぜこの人は突然、給料を上げてほしいと言ってきたのか」と相手の背景を何パターンも考えるわけです。

①自分の生活に対し、現状の給料に不満がある
②社員の誰かと比べ、自分の給料が少ないと感じた
③世間の相場と比べて少ないと感じた
④ただ、何となく(ダメもとで)言ってみた

そして、それぞれのパターンに応じて、どのように交渉するのがベストかを想像します。

「②社員の誰かと比べ、自分の給料が少ないと感じた」の場合、「私はAさんと全く同じ仕事をしているのに、Aさんのほうが給料が高い」と不満があるのであれば「給料そのもの」よりも「自分に対する評価」が気になっている可能性があります。

その場合「給与」から「評価」の話へと話題を変えていきます。

一方で、「③世間の相場と比べて少ない」というケースの場合は、「たしかに800万円が相場で、うちが600万だったら200万の差があるよね」と相手の主張を受け止めながら「うちはストックオプション(自社株をあらかじめ定めた金額で購入できる権利)を発行しているよね。これには上場時の含み益が入るから、合計では一緒になるんじゃないの」と、給与以外の報酬を示すようにします。

ポイントは、相手の目的を叶えられなかったとき、相手がどういう行動をとるかまで想像することです。

最悪の状況を想定することで、交渉において譲歩できる範囲もあらかじめ決めておくことができます。

同じ給与交渉でも、相手の背景をイメージすることで、返答が全く変わるのです。

相手の背景をイメージせず、「Aさんより評価が低いのでは」と思っている人に対してストックオプションの話を切り出してしまうと、目的がずれて交渉は難航してしまいます

(黄皓著『超完璧な伝え方』から一部を抜粋・改変したものです)