ベルクのマーケティング戦略の
もうひとりの仕掛人

 ベルクが行うこれらの販促戦略は、情報・通信事業社の株式会社ビーマップが独自に編み出した「MMSマーケティング」を取り入れたもの。Media to Mobile to Storeマーケティングの略で、テレビやYouTubeなどのメディアで広告を打ち、SNSやアプリ技術を駆使して実店舗の集客につなげるという手法だ。

 コンサルタントとしてベルクの企画を陰で支えているビーマップ社長の杉野文則氏も、その仕掛人の一人だ。

 数年前、知人を介して出会ったふたりは意気投合。ビジネスパートナーとなり、数々のキャンペーンを成功に導いてきたという。杉野氏は、ベルクがマーケティングで成果を出している理由をこう分析する。

「まず、若い人が多い立地と店舗数の規模感が、MMSマーケティングに適していると感じます。アイドルグループを起用した企画では、メンバーのパネルをベルク全店に配置しました。これは、コアなファンが好きなメンバーのパネルを探して店舗を巡ることを想定した施策なのですが、コンビニのように店舗数が多すぎると全店巡るのは不可能。しかし、店舗のほとんどが埼玉県内にあり、130店前後の規模ならば、数日かければなんとか回れる可能性があります。また、キャンペーン期間中は『××店に○○ちゃんのパネルがありました!』と、SNSで投稿してくれる人もいたので、さらなる集客につながりました」(杉野氏)

原島誠一氏と株式会社ビーマップ代表取締役社長・杉野文則氏原島誠一氏(右)と株式会社ビーマップ代表取締役社長・杉野文則氏(左) 画像提供:清談社

 そのほか、ベルクの利用者だけならば、全国区で行われる懸賞よりも応募者が少ないため、プレゼントが当たりやすいというメリットも。利用者がキャンペーンを楽しみやすい環境が整っているのだ。

「もう一つの理由は、原島社長の決断の速さですね。私が『霊視体験招待』のような突拍子もない企画をご提案したときも、数日後にはOKをいただきました。やはり、若い人をターゲットにした企画は、タイミングを逃すと効果がまったく得られなくなるので、スピードが非常に重要。その点も、ベルクとMMSマーケティングとの相性の良さにつながっています」(同)

 今でこそ、奇抜な企画にも即座にGOが出ているが、以前のベルクの体制では難しかっただろう、と原島氏は話す。