裁量権を与えて加盟店が急増
思い切った発想転換で躍進
一方、ギフトのプロデュース制度は、屋号自由、加盟金0円、売上ロイヤルティ0円、店舗運営・メニュー開発自由、というフランチャイズとは真逆の仕組みだ。各店舗の裁量権が格段に大きい。
ロイヤルティや加盟金を徴収しない代わりに、本部は食材などを加盟店に卸すことで販売収益を得る。本部は700店舗を超える店舗の食材調達を一元化する事で、大きなバイイングパワーを獲得する。
加盟店側も店舗運営のノウハウを得られる上に、1店舗では仕入れることのできない価格で食材などを調達する事が可能となる。ラーメン店での開業・独立を目指す者にとって、魅力的な制度であり、加盟店希望者は例のないスピードで増えた。
管理型の経営手法が一般的となり、米国流のフランチャイズシステムが隆盛となった。それは、厳しいフランチャイズシステムの規定が根幹に存在していた。
ギフトのプロデュース制度は、米国流システムから見ると非合理でリスクの高い仕組みに見えるかもしれない。しかし、そのリスクを飲み込み、発想を転換することで、同社は野心溢れる起業家たちを惹きつけ、強力な社会的価値を創造している。
レッドオーシャンやブルーオーシャンといった言葉で経営環境を感覚的に把握し、表層的な競争の激しさを理由に、新規参入を躊躇する企業が少なくない。しかし、レッドかブルーかは、戦略や発想次第で変えられる。今回紹介した2社はその証左ではなかろうか。
(フロンティア・マネジメント 代表取締役 松岡真宏、フロンティア・マネジメント ディレクター 横田正俊)