仕事ができるようになるためには、成果が出ること以外やらないことが大切です。
しかし、仕事には成果にまったくつながらない無駄な作業という名のバグがたくさんあります。
やっかいなことに、長く働いている人たちは「あたりまえのこと」としてやっているため、その仕事がバグだと気づいていないことがほとんど。
新入社員や20代の若手社員のほうが「それって本当に意味があるのかな?」と、素直な疑問がわきやすいものです。
だからといって、部下が上司に「やらなくていいのでは?」などと言ってしまうと、上司のプライドに傷がつき、「いいからやれ!」と逆ギレされてしまい、バグを永遠に取り除けないという悲劇を招くことも…。
そこで、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、上司も会社も気づいていない「実は成果にまったくつながらない無駄な作業」のやめさせ方について伺いました。
(編集/和田史子)
成果が出ること以外やらない
仕事ができるようになるためには、成果が出ること以外やらない。
これが明確な行動指針となります。
昇進や転職の際にも、「これまでどのような仕事をして成果を出してきたか」が問われます。「成果が出る仕事」しか評価されないのであれば、そこに集中するのが最も効率がいいということです。
そこでやっていただきたいのは、毎日仕事でやっていることを書き出し、「成果が出ること」「成果が出ないこと」は何か、洗い出しをすること。
やり方はシンプルで「そもそもなぜこの仕事(作業や業務)が必要なんだっけ?」と理由や存在意義を確認します。
上司や先輩に「この仕事は何のためにあるのか」聞いてみるのも手です。
「意味なくないですか?」というニュアンスではなく、「この仕事で成果を出したいので教えてください」というスタンスで聞きましょう。「成果が出ない」と思っていた仕事に、実は大きな意味があるのかもしれません。
仕分けしてみると、想像以上に「成果が出ないこと」に日々追われていたことに気づくはずです。ショックかもしれませんが、気づくだけでも大きな前進です。
「実は無駄な作業」というバグ
とはいえ、自分の中で「成果が出ること以外やらない」と決めたところで、現実は思うように仕事は進みません。
会社には残念ながら、「実は成果にまったくつながらない無駄な作業」というバグが存在します。
そしてそのバグに、上司も会社も気づいていない場合も多くあります。
上司から頼まれた資料作りや、「メールで十分なのでは?」と思われるような会議への参加などは、ひょっとしたらバグかもしれません。
けれども、真正面から「この仕事は成果につながらないと思いますのでやりません」「この会議は無駄だと思いますので出席しません」と突っぱねてしまっては、ただの生意気で自分勝手な社員になってしまいます。
そこで必要になってくるのが、上司との「交渉」です。
上司と交渉する方法
私は、ほかの人がやったほうが成果につながると思われる仕事を振られたときには、まずは上司に率直に交渉していました。
「私は今、ほかにこのような仕事を抱えています。そちらで最大の成果を出すことを優先したいため、今いただいた仕事をほかの人に渡したいと思っています」
このように伝え、成果が出ることに最大限の時間とパワーを使えるよう提案していました。
もちろん、中には「ゴチャゴチャ言うな、お前がやれ」と押しつける上司もいるでしょう。その場合は仕方ないのであきらめます。最小限の時間とパワーで任された仕事を仕上げるしかありません。
ただ、ここで重要なのは「交渉の余地がある」という事実です。
上司から振られた仕事を鵜呑みにせず、「成果につながるか、つながらないか」を常に考え、成果につながらない場合は交渉する。これだけで、「成果につながらない仕事」をやる機会はグッと減ってきます。
(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。