頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。

1位思考Photo: Adobe Stock

MECEとは?

 前回、デカルトの名言をもとに、因数分解の話をした。

 本書第4章は「因数分解の習慣」である。

 因数分解ができたら要素の関係性を考える。

 MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)という用語を聞いたことがある方も多いかもしれない。

 直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない」という意味だが、いわゆる「漏れなく、ダブりなく」という理解で問題ない。

 ビジネスの課題が大きく複雑であるほど、直接的な打ち手はすぐにはわからない。

 先の例なら、「売上を上げてほしい」と上司から言われても、何をすべきかすぐわかる場合は少ないだろう。

 ただし、ただ分けるのと、MECEを気にして分けるのはまったく違う。

 分解に漏れやダブりがあると、解決できなかったり、何度も同じことを繰り返すはめになったりする。

分解と大局観

 分解するには、本書第1章「全体最適の習慣」で触れた「大局観」が重要だ。

 まず森を見て、それから木を見るというイメージ。全体を見ないと分解できない。

 夢中になって考えごとをしていると、視野がどんどん狭くなり、細かいところにこだわりすぎて全体が見えなくなってしまうが、俯瞰的に全体を見ながら、漏れなく、ダブりなく見ていこう。

 モバイルバッテリーを例にすれば、まずは市場全体を把握してみる。

 オンラインで売れているのか、オフライン店舗で売れているのか。

 オンラインでの販売が大きい場合、その中でお客様の検討ポイントは何か。

 仮に「容量あたりの価格」を重視している人が多いことがわかったとしよう。

 すると、「モバイルバッテリーの売上を伸ばすにはどうするか?」というぼんやりとした課題が、「オンラインでよく売れている容量帯において、競合比較で価格優位性がある製品をつくれるか」とより具体的に変わってくる。

 この例は単純化しているので、すべての課題が同じように一つの打ち手により解決できるわけではないが、効果の高い打ち手の優先順位づけをするうえでも有用だ。

 分解することで打ち手の仮説が自然と立てやすくなるのだ。

(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)