速すぎるAI技術の進歩
利用する側の覚悟や知識が追いつかない
総じて、AI生成の進歩が速すぎて、法律も利用者の意識も追いついていない。
社会や人がもう少し技術を受け入れた頃合いで、“さつきあい”のごときAIモデルが登場していたら、さほど大きな問題にはならなかっただろう。AIアーティストたちは、著作権・肖像権、および「似ている」といわれるかもしれない実在のモデルに配慮する意識が育っているだろうし、そこが至らなかったとしても法律がカバーするはずだろうし、一般の受け取り手はいちいち「これ大丈夫…?」と不安になることなく安心してコンテンツを楽しめるはずだからである。
しかし、そうした状況に到達する前にAIモデル・AIイラストがここまで普及してしまった。
必要な問題意識や議論をするために、“さつきあい”が登場した…とも捉えることができる。
ただし、「今の苦労も将来のために必要だった」的な美談としてだけで済ませるとまずいのは、本件に関して被害者がいるかもしれない点である。似ていると名を挙げられていた実在のモデルが“さつきあい”自体に対して、また今回の騒動に関して何を感じただろうか。
AI生成者(『週刊プレイボーイ』編集部)から本人にコンタクトを取っていいかもしれないが(本人が意に介していなかった場合、やぶへびとなって本人を不快にさせるおそれがあり、悩ましい)、もし本人発信でなんらかのネガティブな意思が表明されるのであれば、編集部は必ず、しかと対応すべきだろう。法の整備が整っていない今だからこそ、個々人が意識と関心を持つべき、難しい局面である。
新技術を利用してカルチャーを一歩推し進めようとした『週刊プレイボーイ』編集部の姿勢に敬意を評しつつ、筆者もAI生成で遊ぶ一個人として、一層の注意を払っていきたい。