頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
因果関係と相関関係
現代のビジネスにおいてデータ分析は欠かせないが、データはそれのみでは単なる数字の羅列だ。
データを用いて「どう解釈するか」が大切だ。
そして数字を正しく見るためにも分解は必要だ。
ビジネスでは、AとB、2つの数字に関係があるように見えることがある。
たとえば、アイスクリームの売上と水難事故の発生件数が両方とも夏に上がったというデータを見たとしよう。
この2つの数字は相関関係にあるが因果関係はない。
相関関係とは、AとBの事柄になんらかの関連性があることをいう。
数学的にはAが増加するとき、Bは増加もしくは減少する傾向が認められる関係である。
一方の因果関係は、Aを原因としてBが変動すること。
夏だから水辺に行く機会、アイスクリームを食べる機会が共に増えている(相関関係)が、アイスクリームの売上が増える(減る)と水難事故が増える(減る)わけではない。
AとB、2つの数字が相関関係にあるとき、次のようなパターンがあることを覚えておくといい。
・Aが増える(減る)とBが増える(減る)という「因果」関係
・Bが増える(減る)とAが増える(減る)という「因果」関係
・Cという別の要素が増える(減る)とAとBが増える(減る)という「相関に見える」関係
・単なる偶然
「因数分解力」に必要なもの
たとえば、コロナ禍でモバイルバッテリーの売上が下がったのは、コロナ禍で外出が減ったため市場全体が低迷しているからである、と因果関係を単純化するのは危険だ。
コロナ禍という大きな環境要因で低迷しているから仕方ないと考え、特に手を打たなかったとしよう。
ただ実際には、競合他社は逆風の中でも新製品を投入し、シェアを拡大しているかもしれない。
仮にコロナ禍で、市場全体がマイナス20%だったとしよう。
そのとき、自社の売上の落ち込みが40%なら、その差の20%は他に要因があるはずである。
スピーディで的確な判断のためにも分解が重要だ。
ここで重要なのは、マーケット全体が低迷しているという仮説自体を疑い、製品シェアに関係する要素、オンラインなら検索順位や販売ランキングの変動、店舗なら棚割に大きな動きがないかなど、漏れがないようチェックすべきだ。
もし販売ランキングが落ちていれば市場は関係なく、単純に自分たちが負けているだけ。
ビジネス自体が複雑化し、課題の原因も複雑化しているからこそ、「因数分解」を正確に速く実行できるかが勝敗を分ける。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)