頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
なぜ「仮説思考」か?
ビジネスでは未来を予測することが大事だ。
「◯◯をやればいいんじゃないか。なぜなら××だから」
と論理的に考える必要がある。
仮説とは、情報収集の途中や分析作業に入る前に持つ「仮の答え」のことだ。
多くの人は
「情報は多ければ多いほどいい」
「そのほうがよい判断ができる」
と信じている。
これはAIが将棋の打ち手を考える方法と同じだ。
考えられるすべての打ち手を読み、最善手を打とうとする。
これを人間がやろうとすると、情報収集しているうちにどんどん時間がすぎてしまう。
論理的思考だけで一手ずつトライ&エラーを繰り返していたら、問題解決に膨大な時間がかかる。
考えられる可能性をしらみ潰しに調べ、結論を導き出そうとすると、時間も労力も足りなくなって成果が出ない。
問題の本質に到達する前に時間切れになってしまう。
将棋で鍛えた直感力と仮説思考
私は将棋を通じて仮説思考を身につけることができた。
将棋には、ルール上は一局面に100手ほどの選択肢があるが、持ち時間が限られているのですべて検証することはできない。
多くの選択肢から、数秒間で数種類の候補手(=仮説)を出し、それについてどれがベストかを検証する。
仮説を出すことで思考時間を圧倒的に短縮できるのだ。
目の前の現実と自身の知識をベースに先を読み、「おそらくこうなりそうだ」という有力な仮説を立て検証していく。
仮説を立てることで検証すべき項目が絞り込め、効率的に問題を解決したり、結論にたどり着けたりする。
「3分切れ負け」という練習
高校時代の将棋部で「3分切れ負け」という練習があった。
互いに持ち時間が3分しかない。
時間切れなら負けだ。
最初のうちは1手を1秒くらいで指す。
中盤の考えどころでは10秒程度で指し、終盤の大事な局面であっても数十秒使って指すことは許されない。
この練習では直感力が磨かれる。
この3分将棋で大事なのは、直感では指すが、あてずっぽうで指すと負ける点である。
少ない時間で最善手を指し続けるのは困難だが、あまりにもテキトーな手を指すと一気に形勢不利となり、戦況を覆すのが難しくなる。
「3分切れ負け」は最初に思いついた仮説を打ち続けるようなものだ。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)