宮古島の地価が急上昇、外資も高い取引

 宮古島市では新型コロナウイルスが流行する以前から地価上昇の傾向にあったが、今年3月に発表された地価公示では、同市の住宅地は7.7%の高い上昇率となった。

「投資物件は、海の見えるビーチサイドではもはや億単位で、伊良部島もすごい人気。背景には中国人の購入があるようだ」とする都内在住の不動産投資家の話からは、高騰の背景にインバウンドなどの観光需要があることがうかがえる。

 一方で、宮古島市でも上野野原(うえののばる)の公示価格は前年比19.6%と、沖縄県内で最大の上昇率を記録した。ここはビーチ沿いの観光地ではなく、航空自衛隊の宮古島分屯基地の目と鼻の先だ。近傍の県道190号沿いには陸上自衛隊の駐屯地もある。

 上野野原地域における地価の急上昇の原因について、国土交通省は「このエリアは農家集落地域ですが、陸上自衛隊の配備(注:開設年は2019年)などもあり、将来的予測から強い上昇率を示しています。外資を含む島外からの資本が入り、高い値段の取引が行われているもようです」と回答している。

 宮古島市に入り込む“外資”の中には中国資本が含まれている可能性は十分にある。

今度は瀬戸内海の無人島か

 中国人投資家が熱視線を注ぐのは沖縄県だけではなかった。瀬戸内海は700余の島(環境省)があるというが、先日、筆者は日本に在住する中国出身のBさんが瀬戸内海の無人島を購入したという情報を知り得た。

 購入目的は「リゾート開発」なのだというが、Bさんが発音する島の名前を地図でたどると、米軍と海上自衛隊が共同使用する航空基地からほど近い沖合の無人島に行き着く。

 その無人島は、昭和初期に軍事関連施設が置かれ、戦後は米軍が利用した形跡も残す。筆者は、自分がBさんの「発音」を聞き違えたのかもしれないと疑ったが、もし本当にBさんがこの島を購入していたとしたらどうだろう、とも思った。日本の現行の土地取引制度では、複雑な歴史と地理関係を持つ島でありながらも、外国人や外国資本が簡単に所有権を設定できてしまうのである。

 ちなみに日本では2022年に、国の安全保障などに関係する重要な土地や国境離島に対し、利用規制を課す「重要土地等調査法」が施行されたが、対象地は非常に限定的だ。

 同時にBさんには「リゾート開発」以外に「隠れた目的」があるのではないかとも思ってしまった。

 筆者は都内の大手不動産企業の社員からこんな話を聞いたことがある。それは「再開発計画が決まったエリアで、立ち退き対象となる中古物件を意図的に購入する中国人が増えている」というものだった。購入後にデベロッパーの足元を見て、多額の立ち退き費用を要求してくるケースが後を絶たないのだという。

 Bさんにとってはとんだ濡れ衣だろうが、中には、あえて複雑な因果関係を持つ土地に手を出し、立ち退きを要請されたら多額の保証金や立ち退き費用を積ませるといった算段を持つ購入者もいるのかもしれない。