アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「タスクを書き出す人」が陥ってしまう「やらされ感」の正体Photo: Adobe Stock

「タスク」ではなく「プロジェクト」と捉えると主体的になる

仕事術の本を読むと、「毎朝のタスクを書き出して処理していく」とよく書かれています。

しかしタスクで物事を捉えると近視眼的になる危険性があるとわたしは考えています。

タスクとは元々コンピュータ用語で、コンピュータ上で処理される「仕事の最小単位」という意味で使われていました。

そこからビジネスの場でも「やるべき仕事」や「課せられた仕事」という意味で使われるようになったのです。

さらに遡ると、タスクはラテン語の「税」を意味する言葉だったようです。

このタスクの対義語として、プロジェクトという言葉があります。Pro(前に)+ject(投げる)という文字通り、未来に向かって投げかけることが語源になっています。

研究や計画という日本語が訳として使われます。タスクは決めたことをやること。そしてプロジェクトは何をやるか考えてやることなのです。

目の前の物事をタスクで捉えると、必然的に「やった・やっていない」「成功・失敗」という判断基準で見ることになります。

仕事の最小単位にはこの判断基準が適応できてしまうからです。

しかしすべてをプロジェクトだと捉えるとどうでしょうか。

プロジェクトは未来に向けた研究です。プロジェクトには終わりがありません。

つまり終わりがないことによって、「やった・やっていない」「成功・失敗」もない。
自分で終わらせない限り、ずっと続いていくことになるのです。

そしてプロジェクトのメリットは、その傘の下で何をやっても成立するということにあります。

たとえばわたしの「恥研究」というプロジェクトでは、本の執筆、メディアでの連載、講演やワークショップが現在の主な活動内容です。それは子ども向けに絵本を描く、大学でゼミをもつ、社会人向けの人材教育教材の開発など、自分の工夫次第で広げていくことができます。

またタスクは税というニュアンスがあった通り、課せられた仕事になりがちですが、プロジェクトと捉えると自分が主体的に動けるようになります。

すべてをプロジェクト単位で捉えると、自分の「やった・やっていない」「成功・失敗」という概念は変わります。

そしてより自分の生活を主体的に生きることができるのです。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)