いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。

「いつも不機嫌な人」と「自分の機嫌を自分でとれる人」を分けるものPhoto: Adobe Stock

キレイな部分だけをトリミングして見る

デザインという仕事は観察力とその応用が大事なポイントです。

ある時こんな素敵な質問をされました。

「あなたの目にはものがきれいに映っていて、それを取り出してデザインしているのか?」と。

「いえいえ、キレイなものばかり見えているわけではありません。その反対も全部、見えていますよ。ただ、キレイな部分をトリミングをしているだけです」とお答えしました。

トリミングとは「切り取る」という意味で写真を撮る時によく使う用語です。

風景全体の中から、どの部分を切り取るかを決めるということ。

ものを美しく見せるための技法の一つとして「黄金比」という言葉は、ご存じでしょう。

ギリシャのパルテノン神殿もこの比率でできているそうですが、人の目に美しく感じるプロポーションを導く手法の一つです。

価値を効果的に引き出す比率のことです。

わたしが考えるのは「黄金比」ではなく「黄金視」という考え方。

つまり見る側の工夫によって、ものを美しく見る角度があるのではないかということです。

黄金比によって精緻につくられたものであっても、見る角度によってはその美しさが変わってしまう可能性もあります。

逆にいえば美しく見える角度を探り当てることが大切かなと思います。

自ら美しさを「見に行く」わけです。

(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)