【具体的なお悩み】

「離婚したい」と長年思いながら生活し、娘の大学卒業を機にやっと実現できました。

離婚の前年に両親を相次いで亡くしたため、精神的に落ち込んだ時期もありましたが、今はペットたちとのんびり過ごしています。定年退職後は、余裕があったら旅行もしたいと思っています。

ただ、現在は両親から相続した築22年の一戸建てに住んでおり、今後リフォームしないといけない箇所が出てくるはずです。家電の買い替えも、あと最低3回は必要かなと予想しています。

車も所有しており、70歳で免許返納をする予定ですが、あと2回は買い替えたいと考えています(予算は2台分の合計で600万円ほど)。

そうした事情もあり、住居の火災地震保険や固定資産税、自動車保険料なども含めると、定年退職後も出費がかさみそうです。

これまでの貯蓄は個人年金の積み立てに回してきたので、公的年金も含めると、定年退職後も毎月それなりの収入が見込まれます。

ですが、この水準で100歳まで安心して過ごせるでしょうか。試算をお願いいたします。

もし定年退職後も再雇用やパート、アルバイトなどで働く必要があれば、「何歳までにどれくらい稼ぐべきか」という目安もあわせて教えてください。

現在の余剰資金を少しでも
貯蓄の増加に回そう

 それでは早速、家計収支を試算しながら、Oさんのご相談に回答していきましょう。
 
 Oさんの現在の手取り収入は486万円です。月間支出は食費・雑費・外出費のほか、水道光熱費などを合計すると月額20万4500円。年間245万4000円です。

「今後の備え」としての月間支出は、保険金・個人年金・つみたてNISAの合計金額が8万5000円、年間102万円です。年間収入が486万円である一方、年間支出が245万4000円、保険金などの積み立てが年間102万円なので、差し引きすると年間138万6000円が余剰額として残ります。

 Oさんの相談文には、この余剰分を普通預金に入れて、車検など少し大きめの出費に拠出していると書かれています。また、相談文に記載がない事情を推察すると、娘さんの教育費などがかさむ中で、個人年金の積み立てに力を入れてきたのでしょう。

 とはいえ、保険金などの拠出分を除いた年間黒字額が138万6000円なのに対し、普通預金の残高が500万円なのは少し寂しい気がします。

 もしOさんが、60歳の定年退職に伴って仕事を「完全リタイア」する予定なのであれば、引退までに金融資産の山を1円でも高くしておくことが大事です。