20年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内大学図鑑!』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は他の大学選びのひとつの手段として選ばれている。本記事では最新版である『大学図鑑!2024』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。(本記事は2022年12月時点に執筆した『大学図鑑!2024』をもとにしています)

大学生Photo: Adobe Stock

 一般教養科目を学ぶ1年次(「基幹教育」)は全学部生が糸島半島の伊都キャンパス、2年次以降は学部により、伊都、病院、大橋のキャンパスに分かれる「学年割れ大学」。

 伊都キャンパスの新設に伴い、2018年度に新設された共創学部と合わせて8学部が、敷地面積約272ヘクタールという国内最大級のキャンパスで学ぶこととなった。これに伴い、周辺には水素エネルギーやナノテクノロジー、半導体などの研究開発機能の集積が進んでおり、産学官連携で世界レベルの新教育拠点の創造をめざす。旧箱崎キャンパス跡地では新しいまちづくりが始まっているが、旧工学部本館など大正時代の貴重な建築物群が国の有形文化財に登録されることになり、「箱崎サテライト」として地域に開かれた新たな学びの拠点に。

伊都キャンパス

 福岡市中心部の地下鉄「天神」駅から直通約25分のJR筑肥線「九大学研都市」駅下車、そこからバスでさらに約15分かかる。「交通の便は箱崎より悪くなった」「通学時間帯は混んでいて疲れる」と不満の声が多い。バス乗り場と反対の駅前にはイオンモールがある。

 箱崎キャンパスの約5.8倍の面積があるという伊都キャンパスは広大で近未来的だ。バスの走る国道から、切り崩した山中に白や茶を基調とした校舎群が見える。バス停前の駐輪場は下宿生たちの自転車やバイクで埋まっているが、構内が広すぎるため学生の姿はまばら。

 キャンパス内にも小型のバスが走り、37ヵ所の乗降場がある。オンデマンド交通の実証実験という目的もあるため料金は無料だ。

 2018年10月には巨大な図書館もオープン。4層吹き抜けの空間は開放的で、豊富な蔵書にイベントのできるスペースや個室なども完備。そのほか、総合体育館には屋内プールも完成。水泳部以外の学生や卒業生も利用できる。全学部の1年生が利用するセンターゾーンには活気があるが、理工系の学舎があるウエストゾーンへと進むほどに閑散とした雰囲気に。どの建物も規模が大きく、ちょっとした要塞都市のようだが、人の数がそのキャパに比べて少ないのだ。

 お腹を満たせるところは、センターゾーンの「ビッグさんど」にある920席の食堂をはじめ、ウエストゾーン、イーストゾーンのそれぞれに生協の食堂があるほか、いくつかのカフェ、コンビニ、売店などが点在している。「食堂は理系の方がおいしい」という声も。

大橋キャンパス

 単科大学のような感じで、一通りの学生生活の施設はそろっている。周辺には昔ながらの商店街が立ち並び、安くておいしい定食屋が多く、とても住みやすいと評判。街中のこぢんまりしたキャンパスゆえ、大学らしい活気が適度にある。

病院キャンパス

 地下鉄馬出九大病院前駅のすぐ目の前が東門。中央の立派な九大病院を囲むように各学部棟がある。各学部生とも勉学に忙しく、キャンパス環境はあまり気にしていない。