人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」「やるべきことが多すぎないか…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、非リーダータイプでも「いい管理職」になれる、たった1つの方法を解説する。(構成/種岡 健)
「決めること」から逃げない
あなたは「部屋探し」をしたことがありますか?
まず、部屋を探すときは、家賃の上限を決め、そこから、条件を選んでいきます。
お風呂とトイレは別がいいのか。駅からの近さをとるか、部屋の広さをとるか。
そうして最終的に、「ここに住みます!」と、1つの部屋を決めます。
優先順位をつけて、満たせなかった条件は諦めるでしょう。
この当たり前のことが、仕事になった途端、できなくなります。
どれも満たしたい。責任をとりたくない。だから、決めることをやめます。
「5つくらいの候補を残したまま、明日からとりあえず野宿をします」
そんな部屋選びをしているような仕事の進め方をしているのです。
決めることから逃れるのは、これと同じ状況です。
「能力」よりも「機会」が先にある
ここで1つ質問です。
すでにマネジメント能力のある人が、人の上に立つのでしょうか?
それとも、人の上に立ってから、マネジメント能力が身につくのでしょうか?
答えは、後者です。
リーダーに任命して、「責任」と「権限」を与えて育てる。
その順番です。
というのも、プレーヤー時代にリーダーとして能力があるかどうかは、正直わからないからです。
新卒の社員を面接で見抜くのと同じで、あくまで機会を与えるのみ。
プレーヤー時代に、すでにマネジメント能力が備わっているなんてことはありえません。
それは、非リータータイプの人にとっては希望だと思います。
意思決定で「線引き」ができているか?
ちゃんとリーダーになれる人は、次のような決断ができます。
たとえば、ルールを決める場面で、2つの意見に分かれることがあります。
その場合、どちらの案にするかを決められず、
「AさんはAのルールを、BさんはBのルールを」
と、個別対応にしてしまうと、後から問題が起こります。
ハッキリと線引きをして、
「Aでいきます」
とキッパリ決めることが、人の上に立つ人には求められます。
明文化して、「言った・言わない」の問題を起こさないようにし、「これは私が決めました」と、主語を自分にして伝えましょう。
その際、「朝令暮改」を恐れないのがポイントです。
仕事における正解はつねに変わります。
ルールを運用する上で、「他にいい案がある」「状況が変わった」などが発生した場合は、潔くルールを変えましょう。
そこで「どう思われるか」を気にする必要はありません。
それができるだけで、誰でも「いい管理職」になれるのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)