頑張っても成果が出ない」「思うように考えがまとまらない」「他人からいつも評価されない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れた考え」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「解決にこだわって、結局何もできない人」と「とにかく、すぐ行動できる人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

「解決」ではなく「改善」からはじめる

どんな小さな工夫にも、自分の向かう方向を180度変える力があります。

変化という視点でいうと、改善にも解決にも、解消にも回避にも、すべてに同等の価値があります。

たしかにビジネスの現場においては、問題を解決することで利益や成長が期待できることから、特に「解決」が重要視されます

しかし解決だけがアイデアではありません。そもそも問題整理をしたときの、理想の状態とは「今考えうる理想の状態」であって、その理想の状態が5年後も変わらないとは限らないのです。

「解決こそがすべて」という考えはとても危険です。

自分の小さな工夫を甘く見てはいけません。

自分で捨ててしまっていた小さな工夫が、自分の未来を大きく変えてしまうこともあります。

これまでは自分の成長やキャリアは、自分が所属する企業に強く紐づいていました。解決ができる人間が重宝される環境と文化の中で、自分の小さな工夫を軽視していたのです。

しかし今や、個としてどう生きるかが問われる時代に突入しています。フリーランスや副業をする人も増えています。

解決に固執すると、ときに自分の動きを止めてしまいます。

それは解決には、時間や金銭的なコストがかかるからです。

自分一人で解決しようとすると時間が、人にお願いしようとするとお金がコストとしてかかります。

解決は、お金と時間をある程度使える企業活動においては成立しますが、個人にとってはカロリーの高い工夫なのです。

解決に対して、改善、解消、回避のメリットは止まらないことです。

とくに改善は、永遠に続けることができます。

うまくいかないときには、まず改善から考えはじめるのがいいと思います。

どんなに考え尽くしても、改善の余地はいつでもあります。改善は最初から最後まで続けることができる工夫です。

解消は、すぐに変化をもたらします。うまくいかないことをやめることで、問題の原因そのものを排除できるからです。うまくいかないことをやめることは、負けや敗れることではありません。解消という工夫のひとつなのです。
回避は、うまくいかないことから離れることができます。自分の歩みを止めていた問題を無視して、別の方向に歩きだすことができます。

行動できなくなってしまっているときには、解消や回避を選ぶと一歩を踏み出しやすくなります。

どんな小さな工夫も、自分の人生を変えうる立派なアイデアなのです。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)