日本企業が注意すべき
4つのこと

 日本企業は以下のポイントに注意してほしい。

1.中国駐在員、中国出張者の属性を把握し、リスクがあるか判断する(前述した通り、「日中友好コミュニティーに深く関与する人物」「日本の行政・情報機関と接点がある人物」は要注意)

2.リスクが高い人物の出張を控える

3.これまでの中国と同様の関係であるという前提を変える
 反スパイ法も当然だが、現在の日中関係は従前の関係とは異なる。まず日本という“国”の視点に立って、中国との関係が従前と変わっているという認識を持つべきだ。

4.企業のリスクシナリオに、これまではなかった領域の中国事業リスクを組み込む
例:反スパイ法、諜報活動、合法的技術窃取、台湾有事、国防権限法、国家情報法など

 今回の改正反スパイ法は従前の反スパイ法から危険性が増したのは事実だ。

 そして、中国という国を考えれば、中国における経済活動を主とした各種活動において多くのリスクが検討されなければならない。

 中国と活動を共にする、もしくは、中国で活動をするならば、昨今の国際情勢を鑑みた地政学的リスクの視点を持ち、中国政府の恣意的な法運用などを鑑みた“中国の実態”を深く理解した上での対応が強く求められる。

 最後に、反スパイ法により不当に拘束された方々の適切な処遇と身の安全を心から祈る。

(日本カウンターインテリジェンス協会代表理事 稲村 悠)