ちなみに、海外の修行僧は、朝の六時から七時くらいの間だけ、街に出て托鉢します。昼は刺激が多いし、ネオンきらめく夜は、もはや煩悩まみれの地獄だからです。しかも外出するときは、ミノ虫みたいに衣で身を丸めて、うつむいて速足で歩きます。

 私が日本に帰ってきて驚いたのは、電車の隣の席に若い女性が平気で座ってくることでした(海外ではありえません)。

 しかもタンクトップや、太ももむき出しのパンツなど、かなりまぶしい格好です。ドキドキしました。中学生のドキドキではなく、戒律(ルール)違反じゃないかというドキドキです。

〈ステップ3〉なるべく反応しない

 刺激に触れても「反応しない」ように頑張ることが、次の手です。

「反応しないぞ」と言葉で念じるだけでも、意外に効果があります。

 また、いざ反応してしまったとしても、「今、反応しているぞ」「これは反応だ」「結生させないようにしよう」と努めるだけでも、それ以上の反応をおさえることができます。

 反応をおさえるコツを二つ紹介します。一つは、「心の目をそらす」こと。

 もう一つは、「反応パターンを決めておく」というものです。

(1)心の目をそらす

 心の目をそらすとは、気(意識)をそらすことです。仏教では、意識のことを「心の目」(心眼)と表現するのです。

 たとえば誰かにお説教されているときに、心の目(気)をそらせて、内心口笛を吹いているかのように、聞こえないフリをするとか。

 騒音が気になったときに、イヤホンで音楽を聴くとか、手のひらで耳を塞ぐ(手のひらで耳を軽くたたいて音が入ってこないようにする)とか。

 こうして「真に受けない」ようにするのです。

 コツは、意識(心の目)を向ける対象を切り替えることです。