2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの神様Photo: Adobe Stock

多くの人から尊敬されるための3つの条件

 人は、「3つの知」がそろって、はじめて尊敬されるようになります。

「3つの知」とは、

 1. 「知識」
 2. 「知恵」
 3. 「知性」

 です。

 1つ目の知は、「知識」。「知識なんかいらない」「知識は邪魔だ」と言う人もいますが、人間には、最低限の「知識」が必要です。

 2つ目の知は、「知恵」。私が考える「知恵」とは、「知識」をいかに日常生活に埋め込むか、実践するか、ということです。

「知っている」ことを「実践する」ことが「知恵」です。

 たとえば、「一期一会」という言葉は、「一生涯でこの人と会うときは、この一度だけと思いなさい。生涯で最後かもしれない。だから、その人を大事にしなさい」という教えですが、それを知っていることは、「知識」です。

「目の前の人を大事にし、大切に扱う」ことを実践して、はじめて「知恵」になります。

 たくさんのことを勉強し、知ってはいても、実践しない人がいます。一方で、何も知らないけれど、笑顔で「実践」している人がいます。どちらが「実践者」でしょうか?

 勉強をして「知識」を身に付けるのは楽しいことです。

 けれど、どんなにすごいことを知っていても、「実践」していなければ、「知らない」のと同じではないでしょうか。

 仕事も順調で、人間関係も良好。健康にも問題がないとき、ニコニコすることは誰にでもできます。

 しかし、仕事も家庭もトラブル続きで、家族とも同僚ともケンカばかりしている、体調も悪い、そんなときにニコニコしていられるかどうかが、まさに「実践」なのです。

「謙虚さ」を保つのは難しい

「知識」を持ち、それを実践して「知恵」にすれば、それなりに賞賛されたり、評価されたりするでしょう。ですが、「尊敬」されたり、「敬愛」されることにはなりません。

「尊敬」や「敬愛」を集めるには、3つ目の知である、「知性」が必要です。

「知性」とは、わかりやすく言うと、「謙虚さ」のこと。どれほど賞賛され、どれほど評価されても、決して威張らない、自惚れない、慢心しないことです。

「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」ということわざがあります。「人間も、学問や徳が深まるにつれ謙虚になる」というたとえです。

 社会的な地位や評価、身分、経済的優位性を身に付けると、人は自分を見失い、「謙虚さ」を保つのが難しくなります。

 認められれば認められるほど、頭を垂れる。

 これが私の考える「知性」=「謙虚さ」です。「知識」と「知恵」に加えて「知性」を持つ人は、多くの人に尊敬されることでしょう。