【総フォロワー数25万人!】長年の教師生活で多くの親と接したなかから生まれた、熱い思いの詰まった言葉を365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親に刺さると話題。親力アドバイザーとして名高い教育評論家の親野智可等氏がいま子育て中の人に伝えたいことがあります。

大人が子どもを叩いていい理由について考えるPhoto: Adobe Stock

子どもを叩いていい理由とは?

このような意見を聞いたことがないでしょうか。

・しつけのためなら叩いていい
・子どものためになるなら許される
・お尻なら叩いてもいい
・後でハグして愛情を伝えれば叩いてもいい
・叩かれる痛みを教えるために叩くことも必要

親、先生、スポーツや部活の指導者で、このように考えている大人は残念ながらまだ一定数います。
そして、こういう考えが体罰という名の暴力や虐待の温床になっています。
でも、実際には叩くことには弊害しかありません。

弊害①人を叩くようになる

大人が子どもを叩いていると、子どもは叩くことで相手をコントロールできるということを学んでしまいます。
結果として、自分も叩くようになります。
大人の攻撃的な行動がモデルになることで、子どもの攻撃的な行動が顕著に増えることがわかったのです。
このことは、モデリング理論で有名な心理学者バンデューラ博士の研究でも明らかになっています。
叩かれて育った子は、叩く人になりやすいということです。

弊害②人間不信になり、攻撃的になる

叩かれることで子どもは他者に対する不信感と恐怖心を持つようになります。
これが人間不信につながり、将来においてよい人間関係をつくる上での妨げになります。
そして、恐怖心の反動は攻撃性であり、恐怖心が強いと自分を守りたいという意識が強くなりすぎて攻撃的になります。

弊害③脳が萎縮・変形する

脳科学の研究によって、体罰を受けた子は社会生活をする上で重要な脳の前頭前野が萎縮することがわかっています。
言葉の暴力を受けた子は、声や音を知覚する脳の聴覚野が変形することもわかっています。

このようなわけで、叩くことには弊害しかありません。
お尻ならいいとか、愛情があるならならいいとか、そういう問題ではないのです。

◆本原稿は、『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。(次回へ続く)