定年後の「仕事」として、自分にはどんな仕事が向いているのか、そして、その仕事をどうやって見つければいいのかなどを考えていく本連載<定年塾シリーズ>「自分に合った【小さな仕事】の見つけ方」。第1回で、定年後の収入と支出を試算し、第2回では実際に定年後の就業状況や収入を統計から確認、第3回では現役時代から準備すべきこと、この第4回では定年後の仕事に関するモヤモヤの原因やその対応法について解説します。
▶第1回「【定年後】生活費の必要額をどう見積もればいいのか?」はこちらから。
▶第2回「【定年後】みんなはどんな仕事で月いくらぐらい稼いでいる?」はこちらから。
▶第3回「【定年後】就きたい仕事に備えて現役のときから準備できること」はこちらから。
定年前のようなホワイトカラーでバリバリ働きたかったのに、希望していた仕事と違う…と感じる方は少なからずいらっしゃるようです。誰しもが多かれ少なかれ、これまでよりよいキャリア(高い職位、給料)を目指したり、負けたくないという気持ちを、心の中で持っているものです。そういう個の力が集まって企業の活力の源泉となる一方で、定年前後の年齢になると、無茶な働き方が通用しなくなることがほとんどです。企業の側も、若手を登用していくために、シニアに対して管理職で居続けてほしいと思わなくなるのが現実であり、さまざまな環境下で自分の体や気持ちがついていかなくなります。
可能な方は働きざかりさながらのバリバリした働き方を目指してほしいですが、それができないからといって働く場がないということもないし、意味のある仕事もできるのです。
実際、定年した多くの方は、キャリアアップするような働き方はしていません。少しずつペースを落としながら「人の役にたちたい」「健康のために体を動かしたい」という思いで働いている方が増えていきます。当初は葛藤を抱える方もいるようですが、「こういう仕事の仕方もいいな」と満足している方のほうが多いのです。調査したデータでも、「就労感が変わってくる」という点を確認しています。
グラフ制作:G体(うちきば・がんた)
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お金が必要であったり、気力・体力が充実していて、求められる職場がある、という方がバリバリ働くのは、大いに良いことです。でも、多くの方は様々な面で、必死になって働かなくてよい環境になっていきます。「若い方に使われたくない」という意見もシニアの多数派ではなく、最終的に満足している人のほうが多いですし、そもそも避けられないことです。就業期間が長期化するなか、ずっと役職を保ちながら多くの人を率いて働くことはできないので、胸に手を充てつつ、考えてみてください。
仕事があることで生活のリズムが出てきて、夫婦を含めた人間関係にも張り合いが出てくるところがあります。仕事は「生活に活力を与える活動」として利用してください。
仕事の満足度を左右するのは…?
仕事の満足度を左右する重要な要素が「負荷」です。負荷が適切(負荷が高すぎないこと)で、労働時間が長すぎない、人間関係や忙しすぎるなどのストレスが少ない、そういった仕事が好ましいといえます。その前提で、一定の額を稼ぐことは可能です。負荷を避けることを意識して仕事選びをしてください。
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仕事の悩みの多くが「人間関係」から生じるのも事実です。定年後に転職して3社目、4社目という方もかなり多いようです。年功序列で給料が上がっていき、退職金をまとめてもらうために辞められない、という現役世代では難しかったでしょうが、定年後は自分に合う仕事を選んでいきましょう。合わないなと思ったら辞めるのも選択肢です。年気負いすぎずに仕事を選んでみましょう。