現在、息子は定年後も再雇用で企業に勤めていますが、新たに趣味を見つけて土日は釣りに精を出しています。息子のいきいきとした姿を見てAさんも、Aさんの妻も土地を貸したことに心から満足しているそうです。

アパートの建て直しで
悩むオーナーは多い

事例2
古アパート跡地をクリニックに貸したIさん

 Iさんは築40年のアパートを所有する60代の地主です。所有するアパートは都市部から30分ほどの距離にありますが、駐車場は広い道路に面した車の出し入れがしやすい立地で、Iさんがこまめに管理しリフォームなども繰り返してきたことから、築40年が経過した今となっても8割の入居率を維持できている状況でした。

 所有するアパートが築40年を迎えるに当たって、Iさんはその建て直しの時期について悩みを抱えていました。Iさんの保有するアパートは鉄筋コンクリートの構造であるため、その法定耐用年数は47年です。7年後が建て直しの目安となることから、今後大規模なリフォームに資金を投入することはためらわれます。また、都市部ならともかく、郊外に立地するIさんのアパートはいくら広い道路に面して立地が良いとはいえ、その競争力は築年数が経過するごとに落ちていることは明らかでした。近年はアパート投資ブームが起こり、新築アパートの供給が増えたため、多くの人は更新時期を迎えると新しいアパートに移っていってしまいます。それに対抗できるのがリフォームでしたが、その手段も法定耐用年数を前にして使うことが難しくなっていました。

 そんなときに、Iさんはクリニックの誘致で土地活用ができるという話を耳にしました。中学の同窓会で一緒になった友人が、自身の保有する畑をクリニックに貸し出すことで農業をやめることができたうえ、賃料収入も得られるようになったと喜んでいたのです。アパート経営についての不安から、コンビニエンスストアや商業施設の誘致も検討していたIさんにとってこの情報はたいへん興味を惹かれるものでした。

親から子への引き継ぎも
クリニック土地貸しなら安心

 実は、Iさんがアパートの建て直しをためらっていた原因はアパートの競争力の低下だけではありません。建て直したとしてもアパートという資産を受け継ぐべき子どもたちが県外に出て家庭をもってしまっており、アパートの管理ができないという事情もありました。