とはいえ、なんでも一方的に丸投げするというのとは異なります。お互いの得意分野で貢献し合いながら、お互いの弱みを補完し合うスタンスが重要です。

 たとえば、企画を立案するのが得意な人と、それをプレゼンするのが得意な人、実行して成果を出していくのが得意な人が組んでプロジェクトを立ち上げれば、ひとりで取り組むよりも大きな価値を生み出せるはずです。

部下や後輩に
仕事を任せる勇気を持つ

 部下や後輩を指導する立場の人にも、ひとりで仕事を抱え込まずに、思い切って仕事を任せる勇気を持ってほしいと思います。

 たしかに、部下や後輩よりもキャリアとスキルのある自分のほうが、短期的に見れば速くて正確な仕事をすることができます。しかし、長期的に見れば、部下や後輩のスキルがいつまで経っても上がらず、チーム全体としての成長が見込めなくなります。

 その点、マッキンゼーの上司は、部下に仕事を任せるのが本当に上手でした。任せる範囲を明確にし、期限とゴールをきちんと説明して、任せた人のやる気を引き出していきます。

「本当は自分でやったほうが速い」

「これを人に任せたら途中で失敗するかもしれない」

 そうした諸々は織り込み済みで、あえて我慢をしながら思い切って人に任せます。最初からあれこれ口を出さず、まずは自分の力で取り組んでもらい、本当に困ったときだけ最低限のアドバイスをしながら、自分で解決できるようにさりげなくフォローしていたのです。