目指したのは「快適な移動の幸せ」
そのために、何をどう変えたのか?
走りの実感を紹介する前に、まずはチーフエンジニアの吉岡憲一氏から新型にかけた思いと開発で重視した点を紹介していただく。
コンセプトは、「快適な移動の幸せ」を、運転する人、そして後席に乗る人に伝えることだ。
その幸せを吉岡氏は、運転する人は運転しやすくて疲れず、後席の人に対する優しい運転を心がけるようになること。また、後席の人に、つかの間のリラックスをしていただくこと、と定義した。
これは、アルファード・ヴェルファイアだけに向けた思いではなく「ミニバンはこうあるべきだ」という開発陣の思いを突き詰めたことを意味する。
では、技術的にそれをどのように実現しようとしたのか?
まずは、車体を刷新した。トヨタはMCと呼ぶ車体を段階的に改良してきたが、今回は最新トヨタ車が使うTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のGA-Kプラットフォームを採用した。
これにより、サスペンションの取り付け方法や、排気管の取り回しなど、新しい手法を数多く取り入れることができた。技術展示車を使って、吉岡氏をはじめ開発担当者らから各部の改良点について詳しい説明を受けた。
その上で、運転席ではハンドルの角度を4.5度傾け、ドライビングポジションを“普通のクルマ”に近づけた。また、パワーステアリング機構部品をギアボックス側に変更したことで、ハンドル操作とクルマの動きの一体感を増した。
一方、後席について吉岡氏は「人が不快に感じる振動を徹底的に軽減した」と強調する。特に気にした点は、人が指先、皮膚、筋肉などで感じる周波数15ヘルツで共振を下げることだ。そのために、ボディ剛性の向上を基本として、専用設計タイヤの採用や新設計の周波数感応型ショックアブソーバー(一部モデルに採用)を駆使して、周波数15ヘルツでの共振を旧型比で3分の1に抑えている。
そのほか、技術的な改良点はさまざまあるが、詳細はトヨタのホームページなどで確認していただくとして、話を試乗に移す。