ポイント② GFRを必ずチェック!

 この問題は、クレアチニンを年齢・性別で調整した「GFR」という数値に変換することで解消できます。この「GFR」の値が45を切っていると腎臓病の疑いがあります。

 健康診断の結果通知にGFRの値が載っていない場合は、日本腎臓学会が作成している測定ツールに数値を入力するだけですぐ確認できます。
【測定ツール】https://jsn.or.jp/general/check/

 腎臓病患者の3~4割は尿タンパクが正常だったという報告もあります(※1)。尿タンパク+クレアチニン(GFR)の「挟み撃ち」で腎臓病の見逃しを減らしましょう。

高血圧、 糖尿病の人は高リスク

 腎臓の機能が落ちるのは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病に起因することがほとんどです。高血圧が続くと、腎臓の血管の壁が強い圧力を受け続けるので、「動脈硬化」が進行し、腎臓に十分な血液が送れなくなります。

 また、糖尿病になり血糖値が高い状態が長期間続くと腎臓の血管も傷つきます。この結果生じる「糖尿病性腎症」という腎臓病は、人工透析が必要になる原因の4割を占めるともいわれています。他にも、腎臓内部の非常に細かい血管の集まりである糸球体に炎症が起きると「糸球体腎炎」という状態になり、急激に腎臓の機能が下がるケースも存在します。

 高血圧、糖尿病の人は注意が必要です。リスクの高い人はGFRの測定までやり切っておいたほうが安全でしょう。

【出典】

※1 Uchida D, et al.Underestimating chronic kidney disease by urine dipstick without serum creatinine as a screening tool in the general Japanese population.Clinical and Experimental Nephrology 19, pages474 480(2015).

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)