Loppi事業の売上減少を
どう立て直したか
私がローソンの業務改革プロジェクトの責任者をしていた時の話をしましょう。
このプロジェクトは、全店舗のPOSレジ刷新に合わせて全社の業務やシステムを見直す大規模なものでした。その中に「Loppi事業」の刷新も含まれていました。
Loppi(ロッピー)とは、ローソンの店舗内に設置されているマルチメディアステーションと呼ばれる端末のこと。この端末を使って、チケット販売やグッズ販売、保険加入などのオンライン取引を行なうことができます。
当時は、パソコンやモバイル端末を使ってのEC(電子商取引)が少しずつ広がり始めた時期でした。パソコンやモバイル端末と比較すると、Loppiはどうしても不便なところもあって、売上や利益が減少し続けていたのです。
そのような状況でしたので、まず私は、このLoppi事業を継続するのか、撤退するのかという議論から始めました。
事業継続に「賛成」「反対」と侃々諤々の議論が続きましたが、会議の結果、Loppi事業はシステムなどすべてを刷新し、今後も継続することが承認されました。
とはいえ、売上や利益が減少している状況を何とか改善しなければなりません。刷新に向けた議論は、その前提を踏まえたものでなければなりませんでした。
ところが、プロジェクトメンバーによる議論は違いました。「コンテンツをいかに増やすか」に終始していたのです。
なぜ、そうなってしまったのか、理由は明白でした。ローソンの内部に浸透していた2つの社内常識(思い込み)にとらわれていたからです。