1、お客様は、放っておいてもLoppi端末の前にやってくる。
2、色は「青」であるべし。
そこで、私は、この2つの社内常識に、思いきって疑問を投げかけました。
「Loppiのことを知っている人は少数ではないのか? 知らない人がLoppi端末に気づく可能性は少ないので、結果的に端末の利用者も少ないのではないか?」
「そもそもLoppi端末は、なぜ青色なのか? 赤のほうが目立つのではないか?」
議論の本質を
すぐに見抜いた新浪社長
ローソンの店舗カラーは青色です。店内のあらゆるところに青が使われています。Loppi端末の色も青だったため、店内で埋もれてしまい、お客様がLoppiの存在に気づかないのではないかと思ったのです。気づかなければ、誰も立ち寄らないし、「ついで買い」もありません。つまり、議論しても無意味だと思ったのです。
私が投げかけた疑問は、ローソン内部に大きな波紋を呼び起こしました。反対者続出で、まったく議論にならない状況に陥ったのです。
しかし、この波紋は意外な形で収束します。偶然、当時の新浪社長が会議室に入ってきたのです。「何を議論している?」と聞かれた私は、事の経緯を説明しました。
「赤色、いいじゃない。店内で目立っていいね。それで行こう」
新浪社長は「これまでとは違う視点で見直さなければ、この事業の成長はない」という議論の本質をとっさに見抜いたのでしょう。ものの5分程度で、決着したのです。
こうして、Loppiの色を赤に変えたことも功を奏し、チケットやグッズなどの売上減少傾向に歯止めがかかり、プラス傾向に大きく変わっていきました。
「ペットボトルを上から見る」視点を持つ――。
この重要性がおわかりいただけたでしょうか?
これまでの常識を見直すことには勇気が必要です。でも、勇気を持って視点を変えてみることで、新しい気づきやアイデアが見えてくるのです。