ひろゆき氏は「エビデンス」の誤読される…
被害者の口をふさごうとする二次加害

 さらに、241万人のフォロワーを持つインフルエンサーのひろゆき氏は22日、DJ SODAさんによる「服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない」という内容の投稿を引用する形で、<ユタ州立大学の調査では性被害者の22人に1人は、挑発的な服装が被害の一因だそうです。ちなみに殺人だと22%は服装が原因になるそうです。治安の悪い場所では服装に気をつけたほうが良いですね。『服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない』は嘘です>とツイートした。

 この投稿については、そもそもこの論文で検討されているのは「挑発的な“服装”」ではなく「挑発的な“言動”」であると、ひろゆき氏の誤読を指摘する声がいくつも挙がっている。

 また、そもそもDJ SODAさんがこのような投稿をしなければならなかったのは、性被害は被害者に責任があるとされ、被害の矮小化あるいは加害者の免責につながってきた過去があるからだ。過去には、性被害と被害時の服装は関係がないと訴えるためのファッションショーもくり返し行われている。

 こういった文脈から切り離して、発言者の言葉の揚げ足を取るようなかたちで服装と被害を関連づけたがる態度は不毛に思える。

 二次加害は、被害者の訴えを矮小化あるいは無効化したり、被害者の非をあげつらうことで孤立させたりする「効果」がある。

 再三、二次加害による弊害が指摘されているにもかかわらず、これがなくならない理由は、「性被害に遭ったと泣き言を言っている女性(あるいは男性)の言葉を信じたくない」あるいは「黙らせたい」といった感情の発露のようにも見える。

 被害者による告発は、加害経験のある人にとって煩わしいだろうし、そうでなくても「和を乱す」といった理由で嫌われる。しかしその結果が、性暴力の暗数(統計上の数量と実社会で起きている数量との差)を増やす可能性に、少しでも多くの人が気づいてほしいと祈るばかりである。