頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
ブランディングで本当に大切なこと
ブランディングでも基礎にある考え方は同じだ。
ブランディングというとマーケティング部門が担当するものと思われがちだが、実はそうとも限らない。
むしろ本質的な部分は、マーケティング以外の部門が担う場合も多い。
ブランディングの定義はいろいろあるが、私なりの定義は「顧客が抱く印象と企業が伝えたい印象を近づける活動」だ。自分たちがこういうブランドなんだと言ってもダメで、顧客が感じた印象こそがブランドイメージになる。
企業が発信するプレスリリースやプロモーションに触れただけで、そのブランドの熱狂的なファンになったという経験がある人はあまりいないだろう。
ブランドイメージを形成するうえで一番影響が大きいのは「自分が体験」したときだ(図表9)。
自分が体験
具体的には、最初の購入体験がよかった、製品自体がよかった、店舗スタッフの接客が丁寧だった、カスタマーサポートの応対がすばらしかった、などである。
こういった直接的な体験は、たとえ1回だけであっても強く印象づけられることがある。
他者が体験
次に影響が大きいのが「他者が体験」したことを見たり聞いたりしたときだ。
具体的には、UGC(User Generated Contents:SNS投稿などのユーザー生成コンテンツ)、友達からの口コミ、オンライン上のレビュー、メディア記事などである。
これらは間接的な体験ではあるが、自分が興味のある製品やサービスをすでに経験した意見なので、その情報の信頼度に応じて大きく影響を受ける。
自分が好きなインフルエンサーが薦めていたブランドを、自分も好きになったという経験がある人も多いかもしれない。
企業が発信
そして最後が「企業が発信」したコンテンツだ。
具体的にはマーケティング部門が担うPRやプロモーション活動である。
これらは先の2つと異なり、企業が自発的にブランドのよさを伝える活動だ。
どんな企業も自社のことはよく見せたいし、どう思われたいかを発信するうえで重要な活動である。
ただし、あくまでもブランドイメージを決めるのは企業ではなくお客様だ。
企業自ら「こんなに魅力的です!」と発信することも重要だが、それだけでは多くのお客様は選んでくれない。
お客様から「こんなに魅力的なんですね!」と言ってもらえることが、競合との圧倒的な差別化になり、1位になるための大きな近道である。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)