中国のライドシェア市場で9割超のシェア
ダイナミック・プライシングは進化すると、ほかのアプリケーションサービスと連携し、パーソナライズされたひとつの「サービス」を構築し、さらなる高付加価値化を実現しています。まさにMaaS(Mobility as a Service)の言葉そのものを体現しているわけですが、その最新テック企業が中国のライドシェア最大手のディディ(滴滴出行/DiDi)です。
自動車のドライバーと、同じ目的地に移動したい人とをつなぎ、相乗りのマッチングを支援する「ライドシェア(ドロップタクシー)」。日本では世界ナンバーワン企業のウーバーがタクシー業界の規制に阻まれ、苦戦している印象がありますが、世界の市場は着実に成長しています。
調査会社の「レポートオーシャン」が2021年に発行したレポートによると、世界のライドシェア市場は、年20%以上の成長率で、2020年に890億ドルを超えたと推測されています。そのライドシェア市場において、中国でナンバーワンの企業がディディです。
2012年に創業したディディは、2016年にはあのウーバーの中国事業も買収し、中国最大の配車サービスプロバイダーへと成長しました。中国市場では9割以上のシェアを誇り、2021年には創業からわずか9年でニューヨーク証券取引所への上場を果たしています。
現在、ディディは、ライドシェア事業だけでなく、タクシー、ハイヤー、トラック、バス、自転車など、多くの移動手段を総合的にカバーする「ワンストップ旅行プラットフォーム」へと成長を遂げています。
また、2020年6月には上海市内で自動運転タクシーの試験運営をはじめており、BCCの報道によると、2030年までに100万台を運営する計画を掲げています。
「SDK」による多様なパートナーシップ
ディディのビジネスモデルで注目すべきポイントは、「SDK(Software Development Kit/ソフトウェア開発キット)」にあります。
ディディではSDKを通じて地図、交通検索、レストラン検索など多くのアプリと連携しています。わざわざディディのアプリを開かなくても、それぞれのアプリからディディのアプリを簡単に呼び出すことができます。