飲み会などの席で、ときどき「なんかおもしろいことしてよ」「最近、なんかおもしろいことあった?」と無茶ぶりをしてくる人が周りにいないだろうか。心の中で「勘弁してよ……」と思っても、相手が先輩や上司だったりするとなかなか反論できないし、飲みの場だとしらけさせそうで困ってしまう。そんなとき、うまく返す方法を1つ知っておくと便利に違いない。ネタ作家である芝山大補氏の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』によると、「おもしろい人の『無茶ぶり』への対処法」があるらしい。それは一体どのような方法なのか、本書の内容をもとにご紹介する。(構成:神代裕子)

おもろい話し方Photo: Adobe Stock

場を盛り下げずに、無茶ぶりをかわすには

 飲み会などで突然先輩や友達から「お前、ちょっとおもしろいことやってみろよ」なんて無茶ぶりをされたことはあるだろうか?

 年齢が若かったりいじられキャラだったりすると、周囲から結構無茶ぶりされやすいので、困ったことがある人もいるはずだ。

 もちろん、そんな無茶ぶりに答える義務はないのだが、あなたが場を盛り下げることが耐えられない人ならば、「軽く笑いを取って流せる方法」があるなら知っておきたいのではないだろうか。

 『おもろい話し方』の著者である芝山氏はまさに場が盛り下がると「2日間は自己嫌悪で眠れなくなる」タイプ。

 そんな彼が本書で、シンプルで取り入れやすい無茶ぶりへの対処法を紹介している。

無茶ぶりには秒で返す

 その方法の、一番大切なポイントは「無茶ぶりには『間』を空けずに返すこと」と芝山氏は語る。それは次のような具合だ。

「芝山~、なんかおもしろいことして~」
「はい! コマネチっ!」

よくあるビートたけしさんのモノマネですが、これくらい間を空けずに勢いでやってしまえば、笑いは取れるものです。(P.103-104)

 この方法の良い点は、別に全然似ていなかったり、おもしろくなかったりしても構わない、というところにある。

 なぜなら「振った方も『いや似てないから!』『面白くない!』と反応しやすく、そこでひと笑い起こせる」からだと言う。

 間を空けてしまうと、相手も返しにくく微妙な空気が生まれるそうなので、「深く考えずにとにかく秒で返すこと」と心得ておきたい。

「すべるけど大丈夫?」と予告する

 次に芝山氏が勧めるのは「無茶ぶりされたら、すべる準備をして大すべりする」という技だ。

「なんかやって」と振られたとき、「やってもいいけど、絶対にすべるけど大丈夫?」と、後のツッコミへの伏線を貼っておく方法です。(中略)
「やったらどえらいことになるぞ」と事前に伝え、そのうえで大すべりします。案の定すべったら、こっちのものです。
「だから言ったやないか!」「お前、この空気の責任とれや!」と怒ってツッコめば、ひと笑い起こせます。(P.106)

 この方法であれば、すべること自体が盛大な振りになっているので、ウケを狙う必要がないのがいい。

 無茶ぶりをかわせるとは言え、ここまで紹介した2つの方法は、無茶ぶりされたことに対して、何かしらをやって見せなければ成り立たない。

「それもキャラ的にちょっとなあ」という人には、「おもしろい断り方でかわす方法」をご紹介したい。

笑いを取りつつ、上手に断るには

 芝山氏が勧める、笑いが取れる「断り方」の一つは、「その場には関係のない誰かのせいにして断る」パターンだ。

 これは、「その状況で想定されない人をあえて出すことでおもしろく感じる方法」だと芝山氏は語る。具体的には次のような返し方だ。

・お母さんから、そういうのやったらダメって言われてるんで
・すみません! おもしろいことするの医者に止められてるんで
・そういうの事務所NGなんです(P.108)

「嘘つけ!」とツッコまれるような、まったく関係ない人を持ち出すのがポイントだ。

「事務所NGなんで」なんて断り文句は、身の回りでもよく聞く。ユーモアもありつつ断れる簡単な方法なので、使っている人は多いのではないだろうか。

無茶ぶりを誰かに押し付けてかわす

 もう一つの方法は、「自分に振られていないように振る舞う方法」を芝山氏は提案する。

「なんかおもしろいことやってや」
「……(きょろきょろと辺りを見回し)ほら、お前なんか振られてるで」

こんな感じで、本当は自分とわかっているけれど、あえてほかの人に押し付ける逃げ方です。(P.110)

 これも、「おいおい、お前に言ってんのや!」とツッコまれて、ひと笑い起きることだろう。

 きっとそのまま無茶ぶりの話も、笑いとともに流れていくに違いない。

ユーモアのある返しで「楽しい人」に

 もちろん、いじめのようなイジリは問題があるが、そんなつもりではなく、場を盛り上げようとして無茶ぶりをしてくる人は、少なからずいるものだ。

 そんな時に、相手の顔を潰さず、笑いにして流せる手段を持っておいて損はない。

 芝山氏もネタ作家に転向し、日常のコミュニケーションに生きる「お笑いスキル」を一般の人向けに伝えるようになって、「どんな人でも、お笑いの基本をおさえれば、会話や印象が一気に良くなる」と感じたそうだ。

「コミュ力や人間関係も改善する」とのことなので、気になる人はぜひ本書で「お笑いスキル」を手に入れて、「一緒にいると楽しい!」と思ってもらえる存在になる一助にしていただきたい。