経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【元国税専門官が明かす】なぜ富裕層は海外投資をするのか?Photo: Adobe Stock

富裕層は海外投資をする

【前回】からの続き 私は著名投資家ジム・ロジャーズ氏の書籍プロジェクトに関わったことがあります。

ジム氏は、「21世紀は中国の時代」としていち早く中国の市場に投資したり、東日本大震災による株価低迷を受けた日本株を買い増したりして、グローバルに投資をすることで巨額の資産を築いた人物です。

38歳にしてセミリタイア生活に入るほどの資産を蓄えたジム氏が、なぜその後もわざわざ海外投資を続けているのか。そこには、富裕層ゆえのリスクマネジメントの感覚があるように思えます。

リスクヘッジとしての海外投資

日本でも近年は海外資産をもつ富裕層が増えています。

プライベートバンクを通じて投資をしている富裕層はもちろん、日本の証券会社を通じて海外投資をしている人も年々増えているのです。

2022年に入り、急速な円安が進んだことで、日本円で資産をもつことのリスクが明らかになってきましたから、今後はますますリスクヘッジのために海外投資をする富裕層が増えていくでしょう。

富裕層の海外資産の実態

富裕層の間で海外投資が過熱していることがわかるのが、国税庁が公開している「国外財産調書」に関するデータです。

国外財産調書は、毎年12月31日時点で、5000万円を超える海外財産をもつ人に提出が義務づけられているもので、国外にある財産の報告を求めるものです。

この国外財産調書の内容が集約された情報が公開されています。【次回へ続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。