頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人たちに話題となっているのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書 TOPPOINT大賞2023上半期ベスト10冊」に選抜された本だ。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書でもある。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。

1位思考Photo: Adobe Stock

「能力100の人の80の仕事」と
「能力70の人の70の仕事」

 今回は、自分なりの100%を目指すという話をしていきたい。

 一人ひとりが限界までやることで、アウトプットに明確な差が出る。

 そしてメンバー個人の成長速度が変わり、企業の成長へとつながる。

 製品やサービスで99.5%から先を積み上げ100%を目指すには、メンバー一人ひとりに、持てる力を全力で発揮してもらう必要がある。

 能力は人によって違うが、その人にとっての100%を出してほしい。

 能力100の人が80の仕事をするより、能力70の人が70の仕事をするほうを評価したい。

 eコマースの動きは非常にわかりやすく、価格を上げれば販売数は低減し、プロダクトが悪ければレビューの評価が下がり、売れなくなる。

 負けているところがわかれば、そこに手を打つ。

 プロダクトとコミュニケーションを磨き、適正な価格で提供する。

 これを高いレベルでやり抜くことができる人と組織が、アンカー・ジャパンの強さにつながっている。

「限界まで頭をひねる人」だけに
見えてくるもの

「限界まで頭をひねる」とは、自分の能力を限界まで引き出すこと。

 目的達成にコミットする意識だ。

 人気マンガ『ドラゴンボール』に登場するサイヤ人は、死の淵から蘇るたびに戦闘力が上がる。

 ビジネスでいえば、限界まで頭をひねることに近い。

 限界まで頭をひねることで成長できる。

 安定した環境で、できることだけやっていたら成長は止まってしまう。

「悔しさ」という
バロメーターはあるか

 私は本書で詳説した受験の失敗体験から、うまくできなかったときに心から悔しいと思えるかどうかが大切だと思っている。

 心底悔しいと思えないなら、限界までやっていないというバロメーターになる。

 オリンピック選手が限界まで練習したのに銀メダルに終わったら悔しいだろう。

 その思いが4年後の金メダルにつながる。

 もし悔しくなければ、残念ながら次も負けてしまうだろう。

 投了(負けを認めること)したプロ棋士は失意の表情を浮かべている。

 全力で逆転の打ち手を探し続けたのに、もうない。

 あらゆる可能性を考え限界まで頭をひねったのに、それでもどうにもならないからだ。

 この失意は熱量あってのものだ。

 そういう点で、私は自分と同じくらい熱量がある人をメンバーとしてどれだけ集められるかを大切にしている。

 以前、当社で予算が達成できなかったとき、「この結果はすべて私の責任」と言ったうえで、「みんなは悔しいですか」と問いかけたことがある。

テレビ番組でコンビニの商品開発担当者がプロの料理人に商品を試食してもらう企画がありますが、酷評された担当者は悔しがって泣いています。
 努力が足りなかったと。みんなは予算が達成できずに悔しいですか。
 みんなの能力が高いことはよくわかっていますが、泣くほど悔しいですか

 予算が達成できなかった、プロジェクトが失敗した、そんなときに心から悔しいと一緒に思える仲間がどれだけいるか。

 相手がどんな強豪校であったとしても、甲子園で負けて悔し涙が出ない球児はほとんどいない。

 そういうメンバーを集められれば1位は一気に近づく。

(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)