頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人たちに話題となっているのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書 TOPPOINT大賞2023上半期ベスト10冊」に選抜された本だ。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書でもある。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
限界まで頭をひねった経験と「やり抜く力」
試験で限界まで頑張ったときの90点と、テキトーに勉強して取った90点は意味が違う。
有名大学を卒業し、誰もが知る一流企業で働いているような人でも、仕事において最後の1%を積まずにあきらめてしまう人は多い。
これには優秀さとは別に、やり抜く力が必要になる。
本書の第3章で紹介したが、米ペンシルベニア大学心理学教授であるアンジェラ・ダックワース氏は、目標に向けて努力し続ける資質を「やり抜く力(グリット)」と名づけている。
ダックワース教授は、成功要因は何かという研究に取り組んだ。
彼女は元々経営コンサルタントだったが、教師に転職する。
数多くの生徒を指導するうちに、次のことに気づいた。
・成績優秀者が必ずしもIQが高いわけではない
・成績が優秀でない学生が必ずしもIQが低いわけではない
この気づきから、勉強ができることとIQの数値は関係がないという仮説を立て、検証した。
結果、成果を出す人(成功する人)に共通する能力を見つけた。
それが「やり抜く力(グリット)」だ。
この力が強い人はその後の成績が伸びたり、積極的な行動を取ったり、成功の原動力となることを示した。
後発でもやり抜く力がある人は時間がかかっても1位になれる。
残り0.5%をやりきるカギ
これは『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(ダイヤモンド社)にまとめられている。
やりきるには、明確な目的意識が必要だ。
組織で仕事をしているなら、組織のミッションやバリューに共感していることが、自分のやり抜く力を後押しする。
99.5%まで完成した仕事、残りの0.5%をやりきるとき、「ミッション×バリュー」が大事になる。
ミッションとは、会社や組織が将来的に果たすべき使命や存在意義。
バリューとは、ミッションを実現するためのメンバーの行動や姿勢、持つべき心構え。
個人に置き換えて考えると、将来どうなりたいか、そのためにどう行動するかということ。
自分の夢をどう実現するかを考えることが情熱の源泉になるのだ。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)