AIは1950年代後半から、推論と探索機能を活かして問題解決や記号を処理する機能が探求され、開発されてきました。その後、1980年代から1990年代には、特定の専門家が考える問題への対処方法、判断、予測などをルールとして定義し、そのルールを基に問い合わせに対する回答を作り出す「エキスパートシステム」が開発されました。

 これにより、事前にコンピューターに登録したルールの範囲であれば、問いに対して予測して対処方法や判断を用意することができるようになりました。

 しかし、この手法では事前に大量のルールをコンピューターに登録する必要があり、人力で知見をコンピューターに蓄積する特性から回答できる範囲には限界がありました。限界を乗り越えたのが、現在高度化が進んでいる「機械学習」と「ディープラーニング」を用いたAIです。

 機械学習とはコンピューターが自動で学習することでデータの背景にあるルールやパターンを認識する方法を指します。機械学習には教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3種類があります。

 教師あり学習では、コンピューターは入力データと出力データをセットにして、入力データから出力データを推計します。入力と出力の関係を分析するために、統計学の回帰分析の手法が用いられます。教師あり学習が使われる代表的なものには、天気予報や売上予想などがあります。近年のAIに使われる最もポピュラーなタイプといえます。

 教師なし学習は、入力データからデータの背景にあるパターンや構造を見つけ出すというものです。教師あり学習と比べ、目的となる出力データがないため、各データの近さや類似度などを計算し、データのグループ分けをしたり、つながりの推計をしたりします。この手法は主にネットショッピングのおすすめ情報などに用いられます。

 強化学習は、教師あり学習や教師なし学習とは違い、データに基づくことなくシステム自体が試行錯誤しながら精度を高める学習方法です。自身が行ったプロセスと結果を学習しながら、最適なアルゴリズムやルールを見いだすという特性があります。この学習方法は、囲碁AIや将棋AIに使われています。これらの用途で使う場合には、教師がいないため最初のうちは強くありませんが、試合ごとにAIが考察をするので、対戦を重ねるごとに経験のデータが蓄積されて強くなっていきます。