頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人たちに話題となっているのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書 TOPPOINT大賞2023上半期ベスト10冊」に選抜された本だ。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書でもある。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
「20%ルール」とは?
世の中には、していい失敗と、しないほうがいい失敗がある。
本書でも何度か「現状維持は後退」という話をした。
現状維持のまま逃げきろうと考える人は挑戦しなくなる。
また、たった一度の失敗でいきなり昇進ルートから外れ、二度と出世コースに戻れない会社もある。
すると「失敗しないことが正しい」組織になってしまう。
失敗しないとは、裏を返すと挑戦回数が少ないだけである。
しかし、挑戦して失敗するのは悪いことではない。
グーグルには、かつて「20%ルール」と呼ばれる制度があった。
これは、「従業員は、勤務時間の20%を自分自身のやりたいプロジェクトに費やさなければならない」というもの。
現在では許可制となっているようだが、以前はグーグルの「イノベーションの源泉」ともいわれた。
たとえば、2009年にリリースされた「Google Wave(グーグル・ウェーブ)」というコミュニケーションツールがあった。
ユーザー間でリアルタイムにコミュニケーションを図るシステムで、コミュニティ内で、あるユーザーがメッセージを作成・編集すると、その内容が他のメンバーにもリアルタイムに反映された。
やりとりの履歴は記録されるので、一つの文書を共同で作成する目的で利用することもできる。
しかし、利用者数は伸び悩んだ。担当チームは手直しを加え続けたが、1年後には開発中止となり、メディアからは「失敗」と酷評された。
だが、失敗が明らかになってからムダな投資は控えられ、損失は最低限にとどまった。
また、プロジェクトの失敗により敗者の烙印を押された人もいなかった。
壮大で新しいプロジェクトに本気で取り組んだメンバーの中には、その後社内で活躍した人もいるという。
挑戦したうえでの失敗は学びになる
また、グーグル・ウェーブを開発する過程で生み出された技術が後にGmailなどに応用された。
Gmailの成功を見れば、その失敗を含めても企業としても十分にプラスに働いているといえる。
最大限、挑戦したうえでの失敗は学びになる。
ミスの責任は承認した上司にあるが、挑戦する環境をつくるのも上司の仕事である。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)