京大の准教授と辣腕ファンドマネジャーの異色対談!?学生から高い支持を得ている京都大学客員准教授、瀧本哲史氏と、驚異の成績を上げている「ひふみ投信」を運用するファンドマネジャーの藤野英人氏。
全く違う分野の2人、実は「投資家」であり、かつ「大学で学生にメッセージを送り続けている」という共通項を持っています。今回は、若者たちに伝えたいことや「投資家的な思考」とは何かなどを縦横無尽に語り合いました。
京大の「起業論」の授業は
実は医大生の受講がいちばん多い
ひふみ投信:http://www.rheos.jp/ Twitterアカウント:twitter@fu4
藤野 はじめまして。実はちゃんと話すのは今回が初めてですよね。
瀧本 そうですね。お互い顔と名前は知っていても、話す機会はなかったですね。ツイッターなどではお見かけしていますが(笑)。
藤野 実は、僕は瀧本さんの京都大学での授業に非常に興味があるんです。私自身、明治大学でもう12年ほどベンチャーファイナンスを教えているのですが、瀧本さんの授業はぜひ一度聞いてみたいですね。
ご著書の『僕は君たちに武器を配りたい』を拝読しましたが、瀧本さんの授業を受ける学生って、学部別の授業を選択した割合をみると医学部の学生が一番高いそうですね。
瀧本 そうなんです。私が京大で教えている「起業論」は「大学卒業後、資本主義の世の中で自分の価値を高めていくにはどうすればいいか」が大きなテーマなので、将来が約束されているかに見える医学部の学生がこの授業を受けに来るというのは、当初は驚きでした。
藤野 確かにそうですね。
瀧本 しかし、現在の日本では医師をとりまく環境も変化しており、医者になったからといって幸せになれるとは限りません。学生たちはそういった状況を敏感に感じ、将来に不安を抱いて私の授業を受けているのでしょう。
実は、最近は法学部の学生の受講も増えているんですよ。難関資格の代名詞だった司法試験も、ロースクールができて合格者数が増え、弁護士が余る状況になっていますからね。
藤野 東大の文科一類は、今年は志願者数が伸びず、センター試験での足切りがなくなったことが話題になっていました。法学部に入って法曹の世界を目指すことに不安を感じているのかもしれませんね。
私は瀧本さんの『武器としての決断思考』を読んで、これが学生に売れているのはよくわかるなと思ったんです。
今、学生たちは「先々世の中がどうなるか分からないし、自分がどうしたらいいのかも分からない」と迷っています。マスメディアでは就職人気企業ランキングを出して「若者は大企業志向が強い」なんて言いますが、メディアが言うほど学生は大企業を信じているわけでもない。
カオスの中でとりあえずブランドにすがっているだけで、本当は強い不安を抱え、「どうしたらいいのかを学びたい」という気持ちなんですよね。