実は毎年のように上がっていたビール系飲料
過去を振り返ると、ビール系飲料への逆風は2019年10月から始まっていた。言わずと知れた「消費税の10%引き上げ」である。食品には軽減税率が適応され税率8%のまま据え置かれたが、アルコールはその対象外だ(ちなみにノンアルコールビールは8%適用)。2019年9月までと比べて2%の増税となった。同じ販売価格であっても、実質的には値上げだ。
そして、その翌年となる2020年に、1回目の酒税改定が行われた。先に書いたように、ビールの税率は下がったものの、新ジャンルは9.8円アップの37.8円。9月から10月にかけて、店頭価格がどのように動くのか、地元スーパーやドラッグストアを注視していたところ、当然のようにもれなく価格が上がった。
当時の筆者のメモによると、350ミリリットル・6缶パックの価格は2020年9月までが569~589円(税抜き)ほどだった。それが2020年10月の酒税改正後は649~659円と、70~80円ほど上がっていた。思い返せば、この時期の新ジャンルは1缶当たり98円で買えるブランドもあった。それが、10月以降はすべて100円超えになったので、「やはり上がるんだな」と実感したことを思い出す。
では、それ以降は価格が変わらなかったかといえば、それも違う。先に2020年10月以降の新ジャンルは649~659円と書いたが、2022年後半には700円超えの価格になっている。というのも、2022年10月に、各ビール会社はビール系飲料の値上げに踏み切ったからだ。
2022年の値上げの主な要因は、すでに耳にタコができるほど聞かされた、コスト上昇だ。原材料となる大麦やトウモロコシ、アルミ缶・段ボールなどの包装資材、エネルギー価格と陸上・海上輸送にかかる物流費、これらが企業努力では吸収できずやむなく――との、おなじみのフレーズにより、ビールを含めたアルコール飲料全般が値上げされたのだ。2019年の消費増税、2020年の1度目の酒税改正、2022年のメーカー価格改定と、定期的にビール系飲料の値上げが続いてきた。
そして、2023年10月以降はどうなるのか。