職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
そんな悩みをズバッと解決する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんは、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介するプロです。この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「話が長くて困ったとき、どう切り抜ければいいのか?」について紹介しましょう。
話が長い人をどうする?
セミナーや研修の最後に、「質疑応答」の時間があります。
ただ、そこで困ってしまうのが、「質問者が自分の話を長々としてしまっているとき」でしょう。
私自身、顧客対応をしていた頃から、何度となく悩んだものです。
しかし、同じような経験を重ねていくうちに、話が終わらない人の特徴がわかってきました。
まず、「相手の都合に無頓着な単なる話し好きな人」と「話しても話し足りない人」の2つのタイプがいるということです。
それぞれのタイプ別に、どうすれば失礼のないように会話を終わらせることができるのか。それを説明しましょう。
「話し好きな人」への対処法は?
まず、単に話し好きな人のときです。
タイミングを見て、「そうでしたか」「そうだったのですね」と、相手の話を受け止めます。そして、一瞬の隙に、
「あ、失礼しました。もう10分も〇〇さまのお時間をいただいていましたね」
と、こちらが長引かせたかのように、時間の経過を伝えるのです。
すると、相手も不快に思うことなく、話を切り上げてくれるでしょう。
この方法は、普段のビジネストークでも使えます。
同じように、こちらが長引かせたことを伝え、その後すぐに「そうしましたら、最後になりますが……」と、クロージングへとつなげると、自然に会話を終了させることができます。
このタイプの人とアポがあるときは、「それでは本日は〇時まで、よろしくお願いします」と、終わり時刻を念押ししておくのがよいでしょう。
そうすると後で、「あと残り5分となりましたので……」と、終了を切り出しやすくなります。
「話し足りない人」への対処法は?
もう一方の、話し足りないと感じている人についてです。
この場合、こちらの聴き方が不十分なことに原因があると考えましょう。
おそらく、「話を理解されていない」と感じているから、相手は話しても話しても、話し足りないのです。
このタイプの人への気づかいは、「あなたの話を、私は理解していますよ」ということを伝えることです。
たとえば、
「ここまでのお話を振り返りますと……」
「それでは、うかがった内容を整理しますと……」
と、聞いた話を要約して伝えてみるようにしてください。
相手に「理解されている」という欲求が満たされ、話が収束に向かっていくでしょう。
というように、まずは相手のタイプを見抜き、上手にフォローすることが大事です。
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。