韓国で長く読まれている勉強の本がある。日雇い労働をしながら4浪の末、ソウル大学に首席で合格した『勉強が一番、簡単でした』(70万部)。韓国では「受験の神」と称され、勉強に携わるもので、その名を知らない人はいない。日雇い労働者からソウル大学首席合格者になるまで、人生の大逆転を成し遂げた、韓国で知らない人はいない奇跡の物語。読後、モチベーションが高まり、勉強したくなる自分に驚くはず。超ロングセラー本『勉強が一番、簡単でした』から、その驚くべき内容を紹介する。
インプットとアウトプットの関係
スイスの心理学者ユングの『無意識の分析』という本と出合った。この本は正直に言えばあまりに難解で、書いてあることを把握するのも大変だったし、私が抱いていた疑問ともあまり関係なさそうだった。
しかし、まったく意味がなかったわけではない。それはユングの本から直接得たというより、心理学の「心」の字も知らないくせにユングにそのヒントを探し求めてまで苦しんだ結果、手に入れたボーナスだと言うべきだろう。
それはインプットとアウトプットの関係をはっきりさせておくという点だ。例えば、1+1=2であることを知らない人はいないだろう。これは“1+1”という情報をインプットすれば、“2”という情報がアウトプットされるということを認識しているためだ。すなわち1+1=2という等式を記憶しているからだ。
もちろん、インプットに対応するアウトプットが意識的であれ無意識であれ頭に入っていなければ、何の情報もアウトプットされない。何も勉強せずに試験問題を見ても、何も頭に浮かばないケースがこれに該当する。
ところが、インプットに対応するアウトプットを覚えているはずなのに、いくらインプットしてもアウトプットがされないことがある。例えば、明らかに知っている人なのに、その名前が思い出せないケースだ。私がテストで悩んでいたことがこれにあたる。
なぜそんなことが起こるのか。その原因は2つ考えられる。
1.インプットとアウトプットの結びつきが弱い
第1に、インプットとアウトプットがしっかり結びついておらず、インプットと同時にアウトプットがなされない場合だ。胸にじんとくる風景を見ても、それをうまく言葉にできないケースがこれにあたる。勉強においても、ある概念の実体と、その実体を表す名前がはっきり結びついていないとき、こうしたケースが発生する。
例えば数学で言えば、A(B+C)=AB+ACという法則がある。これは誰でも知っているだろう。だが、この法則を規定する名称、すなわち「分配法則」と、この法則を構成する実体(上の等式)をはっきり結びつけて認識していなければ、「分配法則」というインプットが入ってきたとき、たとえこの等式を知っていたとしても、アウトプットは出てこない。
2.アウトプットが複数ある
第2に、ひとつのインプットに対してアウトプットが複数あるため、そこからひとつだけ選ぶことが難しいケースがある。このときも、与えられたインプットに対してアウトプットが即時に導き出されることはない。だから、国語のテストは難しいのだ。
テストとは結局、問題というインプットに対して、勉強したことをアウトプットすることだ。
したがって、教科書を読むときは、いま読んでいる内容を必要なときにアウトプットできるよう工夫しながら勉強すべきだ。そのための最善の方法は、名前のある内容はその名前と内容を結びつけて確実に覚えること、そして名前のない内容のときは、自分で名前を付けて覚えることだ。
(本原稿は70万部のベストセラー『勉強が一番、簡単でした 読んだら誰でも勉強したくなる勉強法』から一部抜粋したものです)