ここ数日の間、鈴木俊一財務大臣は口先介入を繰り返していました。発言内容としては円安の水準が問題になるのではなく、急激な変化が問題で、そのときは断固たる措置を取るといった趣旨の内容です。これはG7の決まりで、為替相場の都合が悪いからといって安易に国は為替介入をしてはいけないのです。

日本政府としては
1ドル=150円のラインは死守したい

 とはいえ、金融関係者の意見は、日本政府の本音は150円のラインを死守したいと考えているのではないかということでした。

 これは後づけの考察になりますが、その意味で10月3日深夜の状況は、日本の金融当局によっては都合のいい展開になったのだと思われます。前日まで約1週間、ドル円相場は149円台で推移しながら、じわじわと150円台を狙う展開になっていました。市場参加者が介入を警戒して相場はゆっくりとしか動かない状況が続いていました。

 相場がゆっくりとしか動かなければ、介入はできません。ある意味で日本の金融当局にとってのピンチだったタイミングで大きなニュースで長期金利が一気に動き、日本政府が内心期待していた「急激な為替変化」が起きたのです。

 そのため為替チャートでピンと150円台を大きく上回った瞬間にドカンと円買いドル売りを仕掛けることができたのでしょうか。150円台の円安はいったん回避される結果になりました。

 一瞬、大幅に円高に振れた市場は30分後には落ち着きを取り戻し、翌日は149円台前半で再びじりじりと円安を狙う展開が続いています。

 さて、この円安はいずれ止まるのでしょうか。