おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

独身者の「介護への備え」、どのくらいの額が必要か?Photo: Adobe Stock

独身者は家族持ちよりも介護費用が掛かる可能性

 要介護状態になってしまった時、独身者は家族持ちよりも多くの費用が掛かる可能性があります。理由は、介護をお願いできる身内が近くにいないから。
 その分、身の回りの世話をお願いしたり施設に入る可能性が高くなるからです。また、介護費用も家族をあてにできず、自分で用意しなくてはいけない、という問題もあります。
 とはいえ、要介護状態になると公的介護保険を使えるようになります。基本、かかった費用の1割負担(所得によっては2割・3割負担)で介護サービスを受けることができます。

 介護に必要なお金の目安は次の図表の通り。ただし、この金額は在宅介護を含めた平均です。介護施設に入居する場合には、1か月に9~15万円程度かかりますし、民間の有料老人ホームなどは毎月30万円程度かかることも。

民間の介護保険が不要な貯金額の目安は

 民間の介護保険に加入するかどうかは、貯蓄額や公的年金で自分が望む介護の費用が賄えるのかを考えて決めるといいでしょう。

 具体的には、介護費用に充てられる預貯金が300~500万円ある人や公的年金が月額20万円以上ある人、介護を頼める親族などがいる人は、民間介護保険に加入する必要性は低いといえるでしょう。

 介護保険は商品によって違いの大きい保険です。中には医療保険の特約としてつけられるタイプもあります。一概に保険料が安いといった理由で選ぶことなくどういった保障が必要なのかを見極めないと、「保険料の払い損」になってしまうことも。

 違いは様々ありますが、外したくない条件は「保障期間は一生涯保障が続く終身タイプ」であることと「支払基準が公的介護認定の要介護2、できれば1で支払われる」ことです。「掛け捨てか貯蓄型か」については、独身者であれば断然「掛け捨て」がおすすめです。「貯蓄型」とは、介護保険として支払いがなかった場合に、死亡保険や年金などの形で支払う保険をいいますが、介護の保障は一生涯必要ですから、年金として受け取る可能性は低く、死亡保険を残す必要のない独身者にとっては、ただ保険料が高いだけの保険になってしまうからです。

 *本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。