「私が東京に住んでいることが気に入らない母が、『東京って観光都市ランキングで7位なんだって』と上海やパリに比べて低いと笑っていた。国内では東京しかランクインしていないのに誰目線なんだと思った」(20代・男性)

「東京から地方へ移住した上司がSNSでたびたび東京をディスる(否定する)。『東京は猫の額ほどの家でもバカ高い』『生活コストがすごい』『子どもの受験戦争が殺伐』『街が灰色で人の目が死んでいる』など。わかる部分もあるが、東京が地元で他に行くあてがない人間もいるのだから、ほどほどにしてほしい」(40代・男性)

「上司が東京暮らしの若い女性=港区女子かのような扱いでたびたび港区女子いじりをしてくるが、東京に住む若い女性の99パーセントは港区女子ではないと思う」(20代・女性)

※港区女子=平均世帯収入が東京都内でも高いと言われる港区界隈で遊んだり、港区に住むような高所得層男性を狙ったりする、派手で金遣いのあらい女性といったイメージで語られやすい。

 東京は広いので、23区内でも多くは商店街のある庶民的な住宅街だったり、中には畑があったりすることもある。

 しかしメディアで取り上げられるのが渋谷、新宿や銀座、あるいは六本木や「港区女子」だったりするため、派手なイメージでばかり語られやすい。
 大学入学時などは特に、どの地方の出身かということが話題になりやすく、東京出身者はどことなく一目置かれやすい。しかし一方で、地味なナリをしているだけで「東京出身なのにお洒落じゃない」「東京っぽくないね(笑)」といった心ない物言いをされてしまうこともある。

忠告が過剰にならないように
自分に合った居場所を選べばいい

 突然の東京下げに腹が立つことはあれど、心ない東京下げは首都であり、国際的な知名度が最も高く、さらに国内で人口が最も多い都市であるからこそだ。それは東京人もわかっていることだから、多少の東京下げに腹を立てることはない。

 しかし、東京を下げたい人たちが思い描く「東京人のイメージ」があまりにも戯画的であったり、「東京下げ」に乗じて個人のキャラクターまで貶めたり、といったことがある場合は話が別である。

 若者に対して「東京に過剰な期待を抱くとがっかりするかもしれないぞ」と忠告したくなる気持ちはわからなくもない。しかし、だからといって、東京を雑に下げ過ぎる必要もないはずである。もちろん地方を下げる必要もない。それぞれが自分に合った居場所を選べばいい。結局はそれに尽きる話である。