変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

「グローバルで活躍できる人」のたった1つの共通点Photo: Adobe Stock

ハウツーばかり身につけても、
グローバルで成果を出すことはできない

リスキリング」という言葉が頻繁に使われ、時代のニーズに合わせて新たなスキルを身につけることの重要性が日々語られています。書店に行けばスキルを身につけるためのハウツー本が無数に並んでいて、スマホを開けばスキルを身につけるための記事や動画が大量に配信され続けています。

 では、リスキリングをし続ければ、グローバルで成果を出すことができるのでしょうか。

 当然ですが、最低限のスキルは何をするにしても必要です。英語ができなければ海外の人とコミュニケーションをとるうえで障壁になりますし、ビジネスの基礎知識がなければビジネスを構想して実現することはできません。

 しかし、変化の激しいVUCAの時代に最先端のハウツーばかり追い求めても、キリがありません。また、付け焼き刃のスキルの多くは、今後、生成AIによって代替されてしまいます。

「目的」から考えることを意識する

 デジタル革命が起きた現代は、少人数で実現できることが増えました。テレビ局でなくても動画を制作してYouTubeで世界中に配信することができますし、系列サプライヤーがいなくても他社と連携すればスタートアップが自動車を製造できるようになりました。

 少し前の時代であれば、動画を制作する技術が高く評価されたり、熟練工による匠の技術が製造現場で不可欠だったりしました。しかし、そのようなスキルの価値は相対的に低下したといえます。

 このような時代にグローバルで活躍するには、「何をするか」あるいは「目的」を考えることが極めて大切です。なぜならば、その実現のための手段(スキル)は世界中の人と連携することで手に入れることができるからです。

 時間やお金を投資してハウツーを身につける前に、「目的」から考えることを常に意識しましょう

アジャイル仕事術を身につけて
グローバルに活躍しよう

 アジャイル仕事術は、「構想力」「俊敏力」「適応力」「連携力」「共創力」の5つの力で構成されています。その中でも特に「構想力」は時代の変化に合わせて「何をするか」を考えるために必須の力です。

アジャイル仕事術」では、グローバルで活躍するために、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。